感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
10
このシリーズの面白いところは、対象を高校生や大学生向けとしている点だと感じます。人類の知的遺産や世界の名著よりもやさしい感じで書いてくれて図解や要約などもあってわかりやすいと感じます。書く人によっても若干レベルの違いを感じますが。ミルについても興味を起こさせるような挿話などもあります。2014/05/04
向う岸
5
師であるベンサムはいわば「小さな政府」を推しており、ブルジョワには受けたが 労働者には冷淡だった。ミルは反対に弱者を救済することを重視し、労働者の地位向上を求めて社会主義に傾斜していく。ミルの思想の根底は人間の善性に拠っており、教育で人は良い方向へ革新し、特権階級だけではなく多くの人が政治に参加することを求めた。しかし、ブルジョワによる富の独占と再配分と地位向上を求める労働者という対立構造は、ミルの時代から存在し現在もなお続いているというのは、どうにもこうにも。個人の自由と尊厳を求める闘争もだ。2012/10/07
ソーシャ
1
穏健な社会改良主義者として知られるJ.S.ミルの生涯と思想についてコンパクトかつわかりやすくまとめられた本。(私が読んだのは新装版)ところどころ雑談が入っていたりして興味を持たせようとする著者の意気込みが伝わってきます。『功利主義』『自由論』『自伝』『女性の隷従』は既読なのですが、かなり内容を忘れていることに気付かされました。ミルの社会主義論などについても解説されているので、ミルの思想の全体像を知りたいという人にもおすすめできる本です。(ただ、ちょっと時代を感じるなあという箇所がちらほら)2017/02/19