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光文社文庫
殺意の風景

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  • サイズ 文庫判/ページ数 250p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784334740634
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

私の彼は毎日一人で樹海へ入っていく。植物採集のため?木に結びつけられたリボンを頼りにあとを追ってみるけれど、彼の姿は見えない。私はリボンをひとつひとつ…。(樹海の巻)日本全国18カ所―大自然の中の特異な景観を舞台に、人間の心の奥底に潜む本能的な怯え、戦慄を描いたスリリングな旅のミステリー。著者唯一の連作小説集。泉鏡花賞受賞作。

著者等紹介

宮脇俊三[ミヤワキシュンゾウ]
1926年、埼玉県生まれ。’51年、中央公論社に入社。「中央公論」「婦人公論」等の編集長を経たのち、’78年退社。その後まもなく『時刻表2万キロ』を刊行。同書で日本ノンフィクション賞を受賞。反響は大きく、出世作となる。『殺意の風景』で、泉鏡花賞を受賞。’03年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

109
日本各地の風光明媚な土地を舞台にし、その場に居合わせた人間の殺意を描き出す連作短篇集。目がくらむような断崖絶壁や、深い谷にかかる鉄橋の上などは、人の心を変えてしまう魔力があるのかもしれない。旅行記とミステリの2つの要素があり、1冊で2冊分の楽しみが味わえる。風景の美しさと人間の心の醜さの対照が鮮やかだ。ミステリとしては斬新で、殺人を直接描かずに、寸止めの状態で終わる。もやもやしたところが残ることもあるが、深い余韻を感じる話が多い。昭和の話なので、昔の国鉄の描写が多く出てきて、郷愁に浸ることができた。2017/05/03

June

30
読み友さんのレビューから手に取った本。全国各地の景勝地を舞台に、人と人の間に生まれる殺意とそれに気付いた恐怖の瞬間を描いた短編集。途中、どちらが殺られるのか分からなくなる場面もあり、緊迫感がある。余白を残す結末は、その後の想像を読者に委ねる。最後の一行で戦慄させられるものや、どうなったのか気になって仕方が無いものもあった。三重県の鬼が城には行ってみたくなった。お話は、青木ヶ原、鬼が城、日和佐、十勝岳、須磨が印象に残った。2017/06/19

Norico

24
宮脇さんといえば、鉄道の旅ってイメージでしたが、小説も書いてらしたんですね。人の悪意、弱い所にはらはらさせる短編集。リドルストーリーみたいに、結末をはっきり書いてないものも多く、そして実際に人が死ぬんではなかったりするけど、そこに至るまでがじわじわと怖い。随所に出てくる列車や、旅先の景色は、さすがだなぁという感じで、旅に出たくなります。2017/05/04

koji

14
泉鏡花文学賞受賞の18篇のショートショートミステリ。共通するのは、旅で訪れた土地(ここという場所が選ばれています)で抱いた「人の心に起こる殺意の瞬間」を凄惨な場面なく心理描写で怖がらせる所。例えば、少し知恵遅れの妹の面倒を見ている姉が、ラストの場面、鹿島灘の砂丘に横たわり砂蒸しをせがむ妹に砂をかける、始めは少しずつ、しかしその手がだんだん早くなり・・。流石紀行作家にして名編集者。ゾクッとする作品ばかりです。最後にお気に入りを3篇。①豪雪地帯の巻(松之山温泉)、②古生層の巻(奥大井川)、③廃駅の巻(日和佐)2024/05/06

練りようかん

10
泉鏡花賞きっかけ。18短編収録。北海道から九州まで舞台は幅広く、寝台列車や特急列車に乗って移動する場面に著者の鉄道愛を強く感じた。景色や空気の変化とともに心が浮遊する微かな興奮は覚えのあるもので、本能的な悪魔が触発されたのかと思う幻想とミステリーに何度もひやっとした。木の目印をなくした樹海、これまでと足下の感触が違う桟橋、このまま死ぬのではと思うパターンや、命からがら助かるパターンもあり余韻は色々だった。特に怖かったのは高千穂峡の溶結凝灰岩の巻と、直江津から向かう松之山温泉の豪雪地帯の巻。2024/10/17

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