出版社内容情報
住宅街の空家で高齢男性の遺体が発見された。猛暑にもかかわらず遺体はまったく腐乱していない。刑事第一課の竜胆一郎は、被害者の息子夫婦に疑念を抱き捜査を進める。曖昧な証言、不可解な遺体状況、家族の歪んだ関係……複数の謎に頭を悩ませるなか、証拠物をきっかけに事件は思わぬ方向へ動きはじめ――。静かな衝撃と重い余韻を残す人間ドラマ×警察ミステリー。島田荘司選 第18回 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作
【目次】
内容説明
家族介護を受ける老人はなぜ空家で死んだのか?住宅街の空家で高齢男性の遺体が発見された。連日の猛暑にもかかわらず、遺体はまったく腐乱していない。東野署刑事第一課の竜胆一郎は、被害者の息子夫婦に疑念を抱き捜査を進める。曖昧な証言、不可解な遺体状況、家族の歪んだ関係…幾つもの謎に頭を悩ませるなか、ある証拠物をきっかけに事件は思わぬ方向へ動きはじめる。静かな衝撃と重い余韻を残す、人間ドラマ×警察ミステリー!島田荘司選 第18回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。
著者等紹介
朝野にわ[アサノニワ]
1966年、大阪府生まれ。本作がデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
142
猛暑でも腐敗していない遺体の謎を追う刑事が、周辺の関係者すべての心が腐っていた真実に辿り着くドラマ。誰もが明日に希望を持てない日常にうんざりし、腹に一物抱えて爆発しそうなのを必死に抑えている。嘘やごまかしの山からようやく真実を探り当てたと思ったら、裏にひそむ最悪の悪意に呆然とする展開が読ませる。ただ令和の物語のはずが登場する警察官は昭和のまま凍っているのは、今年還暦の著者が精神的に固まっているためか。また最近は駄作ばかり連発していた島田荘司氏の選評は一応まともで、新本格派を見い出した鑑賞眼は健在なようだ。2026/05/27
いつでも母さん
130
『腐っていないのは❝遺体❞だけだった―』何ともそそられる帯。第18回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作品を読んだ。まんまと次男の妻・佳代子にしてやられちゃった感じがお見事。形にならない悪意は裁けない・・くぅ!竜胆刑事の慄然とする気持ちが伝わる読後感。シリーズ化して竜胆や小田嶋にまた会いたいと思うのは私だけだろうか。2026/04/10
ちょろこ
99
見えないミステリの一冊。とある住宅街の空き家で見つかった高齢男性の遺体は猛暑真っ只中にも関わらず腐乱なし状態。なぜ?に先ず心をがっつり掴まれるストーリー展開。降り積もる不可解な謎、降り積もる家族への不信感。いくつも立ちはだかる矛盾の壁。どんどん読み手を惹きこむのが巧い。そして複雑さを増す様相、家族の関係。なんだかイヤ汁漏れ出る腐った玉ねぎみたい。一枚皮をむいても腐っている、ピュアな部分が見えない、そんな感覚。そしてやっとたどり着いた真の芯。この腐敗度がすごい。簡単にポイッとは捨てられない、それが腐った心。2026/05/24
ゆみねこ
69
住宅街の空き家で発見された高齢男性の遺体。猛暑続きにもかかわらず腐乱していないのは何故か?鍵のかかっていた空き家に老人がどうやって入ったのか?老人の次男夫婦の不可解な動きや歪んだ関係。物言わぬ遺体が示した真実と粘り強く捜査する竜胆たち捜査一課の刑事たち。証拠が見つかってからの思わぬ動きも面白かった。しかし、印象に強く残ったのは次男の妻の強かさ。怖い…。第18回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」受賞作。朝野にわさん初読み。2026/04/17
yukaring
62
空き家で見つかった老人の死体。夏の盛り、死後数日なのになぜかその死体は腐敗していなかった…。事故と事件の両面から捜査をするが非協力的な遺族たちに苦戦。同居していた次男夫婦は死んだ父親への敵意を隠さず、遠方の長男家族は全くの無関心。介護の重圧と認知症の難しさ、空き家問題と様々な社会問題が包含される問題作。そして“腐らない死体”の理由が明らかになるが…。皆心に秘密を持ち何かを企んでいる、その結果の悲劇とは…。腐った根はどう取り繕おうといつか腐っている事は発覚する。静かな衝撃とやりきれなさが残る後味の悪い1冊。2026/06/10
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