感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kent Kaseda
17
【評価:90点】科学技術に携わる全ての人に推奨したい良書。ノーベル化学賞受賞者の福井謙一先生による自伝的エッセイである。福井先生の研究者へのアドバイスを以下に整理する。(1)専門分野以外にも広く学ぶこと。文学や歴史、哲学といった学問に、科学者も通じている必要がある。(2)書物だけでなく、自然に触れ、科学的直感を養うこと。(3)基礎の学問を大切にすること。応用は基礎から生まれる。(4)将来どんな研究や仕事が重要となるかを想像すること。(5)自身の仕事や研究が正しいか否かの倫理的判断を下すこと。2018/01/22
driver1988
2
最も印象に残るのは「基礎と応用」に対する考え方。喜多先生から「応用をやるにはまず基礎からやれ」というアドバイスを「自分なりに解釈」して、基礎を物理学に置いたとのこと。このように化学と物理学を同時に学んだ事が幸いしたのでしょう。水島三一郎博士を思い出します。この人も物理学に軸足を置いた上で化学をやっていました。1つの分野に留まるのは愚かですよ。2010/10/24
道
1
ここまで自然科学関係の著書で感動したのは初めてである。内容は科学的直感とは何か、科学者のなすべき役割、好奇心で科学をする時代は過ぎたという内容、割合自分の好みに合っていた。2019/07/08
Furtwangler1
0
著者の生い立ちからノーベル化学賞授賞までを辿りながら、創造性とは何かを考える。といっても化学の知識は不要、大変読みやすく面白い。 「科学的直観」、創造性の鍵になる能力を著者はそう呼ぶ。論理的思考を積み重ねた上での直観と言えば良いだろうか。