延長された表現型―自然淘汰の単位としての遺伝子

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延長された表現型―自然淘汰の単位としての遺伝子

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  • サイズ B6判/ページ数 555p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784314004855
  • NDC分類 467.2
  • Cコード C1045

出版社内容情報

前著『利己的な遺伝子』で衝撃的デビューをとげたドーキンスの第2作! 前著の立場を拡大・深化させ,利己的遺伝子から見た生物観,進化像,世界像を全面展開する。
前著に劣らず刺激的かつ挑発的な内容で,生物学や進化論の最前線のトピックを巧みに料理しながら,生物や進化の見方にパラダイム変換を要求する。知的興奮を呼び起すスリリングな科学読物。

内容説明

進化論といえば、まず問題になるのが、適応とか自然淘汰という概念である。一体誰にとっての適応であり、誰にとっての自然淘汰か。ここでドーキンスは、従来の常識に反し、革命的な主張をする―それは、自己複製子としての資格をもった利己遺伝子である、その意味では、生物個体はヴィークル(乗物)にすぎない、と。知的興奮を呼び起すスリリングな科学読物。

目次

1 ネッカー・キューブとバッファロー
2 遺伝的決定論と遺伝子淘汰論
3 完全化に対する拘束
4 軍拡競争と操作
5 生殖系列の能動的な自己複製子
6 生物体と集団とミーム―何が自己複製子で、何がヴィークルか?
7 利己的狩りバチか利己的戦略か?
8 無法者遺伝子と変更遺伝子
9 利己的DNAと跳躍遺伝子とラマルク騒動
10 「適応度狩り」―五つの苦悩
11 動物のよる造作物の遺伝的進化
12 寄生者遺伝子の効果としての寄主表現型
13 遠隔作用
14 生物体を再発見する

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

34

19
ダーウィン進化をドーキンスの言葉で述べると、進化とは自己複製子の生存率のちがいが眼に見えるかたちであらわれたものである。淘汰の作用は複製子に直接働きかけるわけではなく、その表現型効果に働きかける。つまり、ある遺伝子がその対立遺伝子に対して有利になったり不利になったりするのは、その表現型効果の結果による。さらにドーキンスは本書で表現型効果の延長という概念を提出している。たとえば、ある動物種の足跡の変化がその生存率に変化を及ぼすとしたら、その足跡は遺伝子の延長された表現型の一部と見なしうるだろう。2017/06/10

赤い熊熊

16
先に読んだミトコンドリア本で引かれてたから、かなり前に読んだのを再読。ビーバーの巣はビーバーの遺伝子の表現型といえる。遺伝子は生物個体という境界を超えて効果を発揮する。相手が無生物であっても生物であってもその効果は及び得るという主旨の本。新しい科学的事実を知る本ではなく、確かにそうだよなぁということを確認する本だと思います。若干くどいところがありますが、丁寧に読めば生物学の専門知識はなくても読める良書です。2017/09/30

roughfractus02

4
遺伝子と個体の関係は前著『利己的な遺伝子』では成功率の反比例関係に置かれたが、本書では個体は遺伝子単位の延長された表現型と定義される。が、延長extendなる語は個体が遺伝と環境の相互作用で形成されるゆえに、一方的な拡張ではない。結果(個体)は原因(遺伝子)の直接の反映ではなく、相互的、確率的に延長されるからだ(両者の成功率は正比例ではなかった)。ここから著者は個体の行動や作られる環境もその表現型とし(クモ、ビーバー、シロアリ等の巣)、遺伝子淘汰説のミーム説への延長を前著の批判への反論を交えつつ強化する。2017/03/05

Akio_Satake

4
一度は挫折をし、ようやく読了。門外漢にはちとツラい本でしたが、11章くらいまで我慢すれば、最後の1/4はたいへん素晴らしい考察で夢中になりました。というか最初の3/4までは本章ではなく論争なので、これはちょっとね…。訳者日高氏の「腹が立った」には笑えました。これで翻訳されたドーキンスはすべて読んだはずなので、あとは、氏の寿命までにできるだけ書いてほしい…です。2012/06/16

Rootport Blindwatchmaker

3
原著は1982年発表。中盤までは現在では時代遅れになった論争への反論が続くので、かなり難解。とはいえ10章は、今でも誤解の多い「包括適応度」という言葉をきちんと理解できるのでぜひ一読を。本書の見どころは11章以降、「延長された表現型」論が本格化してからだ。ドーキンスらしい鮮やかな筆致で、新しい生命観を描き出す。チョムスキーによればヒトは本能的に普遍言語を持つという。だとすれば、それをもたらす遺伝的背景があるはずで、言語を基盤とした人類文明そのものがヒトの遺伝子たちの延長された表現型だとみなすことができる。2017/03/05

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