出版社内容情報
【目次】
内容説明
薄霧のたちこめる宅配所。粛々とはたらく作業員たちのあいだで、レーンに流れてくる無数の荷物を仕分ける安。一日中、ほとんど誰とも口をきかず、箱の中身を妄想することで単調な労働をやり過ごすうちに、箱の中身と妄想の「答え合わせ」をしたいという欲望が安を蝕んでいく。あるとき思いもよらぬ理由から、決して開けることの許されない箱の中身を覗きみることに成功すると、たしかにあったはずの箱が次々と消えていくようになって―。新時代の〈労働〉を暴くベルトコンベア・サスペンス。第62回文藝賞受賞作。
著者等紹介
坂本湾[サカモトワン]
1999年生まれ。北海道出身。2025年、本作で第62回文藝賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
245
第174回芥川賞受賞作&候補作第一弾(1/5)、坂本 湾、初読です。本書は、著者のデビュー作にて第62回文藝賞受賞作、宅配所で働く市井の人々のベルトコンベア・サスペンス群像劇でした。大量の箱に囲まれて働くと、メンタル的におかしくなるのかも知れません。私は、大学一年生の最初の頃、短期間、宅配所で早朝バイトをしたことがありました。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309032467/2026/01/25
fwhd8325
153
ここで描かれている世界を全く知らないわけではなく、むしろ、よく知っているといってもいいかもしれない。だから、この息苦しさは身につまされるくらいよくわかる。すごい小説だと思いながら読んでいた。110ページだけどもうすごく濃厚で、終盤は嫌になるくらいの不快さを感じる。2026/01/26
シナモン
91
宅配所で働く人たちを描いた物語。流れてくる箱を仕分けていく退屈で単純な作業をこなしていく日々のなかでぽっとわき出る欲望。霧が立ち込める作業所内のじめっとした空気感をずっと感じながらの読書時間。不気味だけどページをめくる手が止まらない一冊だった。2026/01/14
たかだい
77
物流における荷物の仕分け作業をテーマとした摩訶不思議な作品 ジャンルとしてはサスペンスが適当な気がするが、ホラーのようでもある 霧が立ち込める作業場、虻の羽音のような音を立てるベルトコンベア、中身の分からない荷物、荷物、荷物… 単純作業の繰り返しに狂っていく作業者の内面が淡々と抉り出され、作中の雰囲気はどこか幻想的だが作り物めいていて無機質 面白い、面白くない以前に「不思議な作品だった」この一言に尽きる2026/02/20
いたろう
74
著書26歳でのデビュー作で、2025年下半期の芥川賞候補作となった作品。最初から最後まで、宅配便の配送所が唯一の舞台。同じ単語が3つ並んだタイトルはよくあるが、4つとなるとちょっと見たことがない。このタイトルに、うんざりするほど連なるBOX=箱のイメージが、まざまざと目に浮かぶ。配送所で、延々と箱の仕分け作業という単純労働を、黙々と行う非正規社員たち。そして、彼らを現場で管理する者もまた、契約社員という非正規の立場。配送所の中まで入り込む濃霧のイメージが、非人間的な職場で、心が折れていく彼らの姿に重なる。2026/06/24




