内容説明
『ポーの一族』はなぜ一八七九年に設定されなければならなかったのか―。もはや少女マンガの枠を超え、芸術作家の第一人者である萩尾望都氏の代表作『ポーの一族』。バンパネラ(吸血鬼)として生きなければならない少年・エドガーを中心に描かれた、哀切に満ちたこの作品には、E・A・ポーやシェイクスピア、そしてマザー・グースなどさまざまな英米文学が織り込まれている。そしてさらに、そこに見え隠れする「アリス」の影。「一八七九年」からたどり着いたひとつの答え。知られざる「ポーの真実」が今ここに。
目次
第1章 エドガー・アラン・ポーと「ポー・シリーズ」(「エドガー」とエドガー・アラン・ポー;「メリーベル」とヴァージニア・クレム(『アナベル・リー』))
第2章 英文学と「ポー・シリーズ」(「ポー・シリーズ」とマザー・グース;萩尾望都とマザー・グースの出会い ほか)
第3章 「ポー・シリーズ」と『ふしぎの国のアリス』(『ポーの一族』と一八七九年の謎;一八七九年は『ポーの村』の十四年後 ほか)
第4章 ふしぎの国の「ポーの一族」(「ふしぎの国」のリデル(リデルの名前が意味するもの)
ランプトンが結ぶ『ベルサイユのばら』と『ポーの一族』 ほか)
著者等紹介
いとうまさひろ[イトウマサヒロ]
1961年生まれ。大阪府出身、在住。関西学院大学法学部法律学科卒。14歳のときに萩尾望都氏の『ランプトンは語る』を読み大きな衝撃を受け、以後『ポーの一族』シリーズを中心に萩尾氏の作品を愛読する。近年、「ポー・シリーズ」の研究を始め、「従来の読者には作品を正しく理解するためにその背景を知ってもらいたい、未読の方にも作品の魅力を伝えたい」という強い思いから『ふしぎの国の「ポーの一族」』を上梓(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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