内容説明
「大学の音楽史の授業をいかにおもしろくするか」―この本の出発点はここにあった。さいわいなことに、「音楽史」の場合は、歴史の証人であり、その結晶ともいうべき音楽作品がある。そうした音楽がもたらしてくれるよろこびや感動から音楽史を再構築できないか―ここに本書のねらいがある。名曲はそれぞれの歴史的時点を示し、かつ時代を要約し、さらには普遍的な真実を語る。だとしたら、そうした名曲に歴史を語らせ、しかも現代のわれわれにも尽きない興味を呼び起こすことができるはずである。それは博物館の陳列棚から作品を解放し、音楽をわれわれの生の一部とすることでもあろう。本書が「事実」を羅列したり、「通説」を組み替えただけの「音楽史」と一線を画することができたとすれば、何よりも音楽を生きた証言としていることにあるだろう。
目次
第1部 中世とルネサンス
第2部 バロック
第3部 古典派
第4部 ロマン派
第5部 現代