内容説明
明治‐大正期、長野県各地の製糸工場で、幼い女工たちが、仕事のかたわら勉学にはげんだことは、ほとんど知られていない。各地に残る資料を手掛かりに、きびしい労働環境のもとでも懸命に生きる製糸女工の姿をえがき、義務教育成立史をぬりかえるとともに、“哀史”の中に光明を見出す。
目次
序章 課題と方法
第1章 日本義務教育制度成立史論
第2章 長野県尋常小学校特別学級規程に基づく製糸女工の教育―松代地域の先鞭的実践
第3章 工場法成立期における製糸女工の就学状態―諏訪郡上諏訪町の場合
第4章 工場法施行と製糸女工の教育―諏訪郡平野村を事例に
第5章 製糸工場特別教育の経済史的・社会政策史的位置―諏訪郡川岸村・平野村を軸に
第6章 丸子における製糸工場特別教育の史的構造と位置
第7章 上伊那における製糸工場特別教育について―南箕輪村の長田製糸の苦渋
第8章 須坂における委託特別教育の成果と意義