内容説明
騎士文学の頂点をなす中世最大の叙事詩完訳成る。愛と冒険に彩られた絢爛華麗な中世絵巻!主人公パルチヴァールが試練の中に神の愛の存在を確かめ、ついに聖杯を得るに至る精神的発展の過程を通じて、騎士としての理想的人間像を追求したこの雄渾な中世叙事詩は、ドイツ教養小説の先駆として高く評価され、『ファウスト』以前のドイツ文学最大の作品といわれている。またワーグナーの楽劇の典拠としても名高い。本邦初訳。日本翻訳文化賞受賞。日本図書館協会選定図書。
感想・レビュー
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syaori
26
聖杯探求の物語。少年パルチヴァールの旅立ち、無知ゆえの迷走、失敗を経て聖杯探求の旅へ、そして聖杯王になるまでが描かれます。これを彩るのが、ガーヴァーンをはじめとする主人公の父方の、妖精の血を引くミンネの家系の騎士たちの戦いやロマンス、母方の聖杯守護の家系の聖杯王アンフォルタスの住む聖杯城での饗宴などの恋や冒険や幻想。父母の代から始まり、2つの家系の血を引く主人公が聖杯王となって天上の愛に地上の愛が重ねられた後も、彼の息子ロヘラングリーンへと続いていく物語は、壮大な一族の物語だともいえるのかもしれません。2016/09/30