内容説明
良書に対しては敬虔に、悪書についても免疫を!混迷の時代に贈る「考えるヒント」。
目次
第1章 丸山真男『現代政治の思想と行動』―永久革命論の煽動家
第2章 林達夫『共産主義的人間』―断簡零墨の教養と勇気
第3章 福田恒存『平和論にたいする疑問』―先見力の正統派知識人
第4章 新渡戸稲造『武士道』―道徳は日本に甦るか
第5章 三島由紀夫『文化防衛論』―皇室の衰微は日本の衰亡
第6章 J・J・ルソー『人間不平等起原論』―「狂える魂」の怨念の哲学
第7章 B・マンドヴィル『蜂の寓話』―市場経済原理の「コペルニクス」
第8章 F・A・フォン・ハイエク『隷従への道』―二十一世紀日本経済の羅針盤
第9章 B・フランクリン『自伝』―人生の達人は人間力を磨く
第10章 E・バーク『フランス革命の省察』―人類最高峰の遺産
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
92
毒舌で有名な谷沢先生と時評で有名な中川先生による、いわゆる「名著」といわれてきている10冊の本を対談でこき下ろしたり、ほめあげたりしている本です。ここに取り上げられている本は、私もかなり読んだものが多く楽しみました。丸山眞男の本も小気味いいくらいにやっつけられています。ただよく読み込んでおられると感じました。この本の中では、バークの「フランス革命の省察」を読んでみたくなりました。2024/02/10
軍縮地球市民shinshin
15
1998年刊。2011年に亡くなった谷沢永一と現在のように毒舌過多ではなく、まともに話している中川八洋との対談。2人が勧める「良書」と「悪書」(こっちは勧めてはいないが…)について縦横無尽に語られている。林達夫、福田恆存、三島由紀夫の章は読みごたえがあった。またフランクリンの章もなかなか興味深い。こうして読むと中川はかなり勉強していることが分かるが、あの毒舌で他の保守派論客に噛み付いたから現在は本が出せなくなっているのだろうな。この頃はまだ普通の語り口だ。2020/07/05
Haruka Fukuhara
5
福田恒存の項を中心に。当時の論壇の情況を思うと画期的なことを色々と言っていたということがよくわかった。そういえば北岡伸一が今年に入ってからの中央公論の論壇特集で「論壇など昔からなかった」と論をぶちあげていてなかなか面白かった。林達夫は読んでみたい。2017/03/20
小村壽太郎
2
サンデルブームや『2.0』。政治哲学が世間の関心を集める中、読み直されるべき一冊。特に林達夫に関する解説は秀逸で、ハイエクに通じている中川ならでは。自由経済と道徳の関連性をマンデヴィルとヘイル、ハチスンの対立から、アダムスミスの経済学の位置づはサンデルへの強力なアンチテーゼたり得ると感じた。2012/09/09
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