内容説明
六世紀に突如現れ、渡来人の先端技術により、天皇をも凌ぐ力を持った蘇我氏は、なぜ一夜で滅んだのか。天皇と豪族の関係から、東アジア情勢までをも視野に入れた新時代の考察。
目次
第1章 蘇我氏四代
第2章 出自と出身地
第3章 蘇我氏と渡来人
第4章 仏教受容
第5章 蘇我氏の二つの貌
第6章 なぜ滅亡したか
第7章 「逆賊・蘇我氏」の誕生
著者等紹介
水谷千秋[ミズタニチアキ]
1962年、滋賀県大津市生まれ。龍谷大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得(国史学)。博士(文学)。龍谷大学非常勤講師。日本古代史、日本文化史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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蜻蛉切
26
古代史は、面白いのだけれど、人名等々の読みが難しくて、覚えられない。 記憶機能が壊れかけているオッサンは大苦戦である。 それは兎も角、昔チラチラ古代史読み物を読んでいた頃から随分と、イメージも学説も変わってきているなぁと思った。 ただし、この本が出た時点では、蘇我氏の研究自体は、まだまだといった感じらしい。 以外にも、基盤は最後まで弱く、官僚としてその権力を確立したという指摘に驚いたし、蘇我氏が滅びなければ、中国的な王朝交代の可能性があったという点が非常に印象に残った。 松本清張の史論にも興味が出てきた。2020/02/15
こぽぞう☆
20
渡来人を配下に置き(本書では蘇我氏渡来人説は否定されている)官僚的面を持つ一方で、従来の豪族のしての面も持つ蘇我氏。継体期以降の不安定な天皇家を支える。天皇家あっての蘇我氏というより、蘇我氏あっての天皇家?蘇我氏が作りつつあった、唐を手本にした秩序。それを横取りして果実を摘み取ったのは、天智天皇と中臣鎌足というところか。大化改新がなかったら、どうなってたか想像するのは面白い。2016/08/04
月をみるもの
14
古墳の時代から、文字と仏教と官僚制と法律(律令)の時代への移行の主役となった蘇我氏。そうだ、飛鳥行こう。2019/02/01
ユウユウ
11
#読了 当たり前のようでそうでない謎2022/05/31
Tomoichi
9
小学校の社会でも習う大化改新、中大兄皇子によるクーデターにより滅びた蘇我氏についてあらゆる角度から考察。逆賊ということで今まであまり研究が進んでいなかったというのは驚き。本書は著者の他の作品同様に構成・文章・考察とも大変良く出来ており改めて古代史を学ぶにはオススメ。文春新書から出ている他の作品も読もうかな。2016/10/07