内容説明
お寺にはなぜ竹の結界や鉄柵で人を拒絶するところが多いのか。この世と冥界の境はどこにあるのか。町家に塀がないのはどうしてか。花街とお寺が居並ぶのはなぜか―。ガイドブックでは窺い知れない古都のディープな不思議を、その歴史にまでわたって探究。若き日に、紫野大徳寺の名僧に弟子入りし破門となった著者が声低く語る、京都の好きなところ嫌いなところから、古都の別の顔が見えてくる。
目次
大徳寺幻影―結界は何を拒絶する
鷹峯裏街道―秀吉はなぜ御土居をつくった
六道の辻―冥土の入口はなぜここに
建仁寺今昔―日蓮が「禅天魔」といった理由
大原、隠れ寺―京都人は秘密を楽しむ
叡山回峰―拝する御所はもぬけの殻
船岡山遠望―法華寺院が京都に多い理由
西陣を歩く―町家に塀がないのはなぜか
通り名唄―京都人は日本一薄情か
賀茂川下り―京都が小京都とちがう理由〔ほか〕
著者等紹介
倉部きよたか[クラベキヨタカ]
1951年、大阪生まれ。中学卒業後、15歳で京都・紫野大徳寺に小僧に入るが、2年で破門され、京都を転々とする。関西学院大学中退、早稲田大学卒業。国連関連の文化団体で10年、出版と機関紙編集を担当。その頃からラテンアメリカの日本人移民史に興味を持つ
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
B.J.
8
●トイレは、もともと東の方にあったので、東司。 ●木魚:魚は眠っているときも眼をあけている、だから、寝ているときも精進しろ。 ●犬矢来 :建築的には、雨水の壁への跳ね返りを防ぐものだと思うが、雨宿りをさせないという、深~い意味もある。 ●「白足袋には逆らうな」 :京都で生きるための鉄則。 →公家・茶人・僧・花街衆・室町商人。 →西陣は逆で、軒が深かった。雨の日には道行く人の雨宿りの場にもなったし伝い歩きしていけば傘がいらなかった。人を排除しない町のつくりが西陣にはあった。 ・・・本文より 2020/02/21
田中峰和
6
タイトルが刺激的で読んでみた。だが京都人が薄情かどうかに関する部分は通り名唄の章だけ。京都人は「姉三六角蛸錦」と通りの名前を唄にして覚える。京都は条坊制が敷かれて以来久しく、通りを基準に住所を表記するほど通り名を重視する。この章がなぜ京都人の薄情と通じるのかしっくりこない。むしろ、秀吉が築いた御土居が京を囲み排他性を産んだことの方が、京都の差別化と誇こりにつながり、余所から見れば薄情に見えるのかと思った。愛宕の石仏の章で、戦前の愛宕鉄道の存在を初めて知った。比叡山より高いのに廃線になったのが悲しい。2020/04/08
たいそ
1
京都に住んでいたことがあるので「あの辺りか」となんとなく回想できて良かった。通り名の覚え方、比叡山、朱雀大路は現在のどの通りか、といったあたりはおもしろかった。2012/02/07
sachi716
0
もと大徳寺の小坊主をしていた筆者による京都案内。 案内というよりも、きちんと歴史的な経緯を綿密に調べていて「なるほどー」な濃い内容。 読み応えのある1冊2015/06/12
Megumi Hirayama
0
「アンチ京都人」本ではない。京都に住んでおられた記憶・学術的考察などをまとめたエッセイ本という感じ。明治維新前後の戦乱・都が東京へ移ったことによる荒廃から京都を救ったのは、「よそ者」の府知事たちだった。「京都は京都人だけの街ではない、そのことを京都人は忘れてしまっている。」深くうなずく。2013/05/08
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