出版社内容情報
ますます高度になり複雑化する現代自然科学の最先端の知識を紹介し、それを自由奔放に駆使しながら、そうした自然科学の各分野がどう組み合わされ、どんな可能性が生まれつつあるかをユーモラスにわかりやすく浮彫りにする。第一級の生化学者であり、SF界の第一人者である著者にしてはじめて可能なエッセイ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
102
さすがアシモフ先生。小説家で生化学者でもあり、ボストン大学医学部の生化学の講師も勤めた人だ。化学だけではなく、言語、歴史、聖書、科学全般など多岐に亘って造詣が深い。その知識量の豊富さたるや筆舌に絶えることがない。そんなアシモフ先生が自然科学全般(生物・化学・物理・天文学)について、自身の思考・思想・空想・感じたことなどをエッセー集にまとめた本書である。個人的に興味深かったものは10のマイナス23乗(フェルミ)『極小の時間単位』と、エントロピー準位の『現代悪魔学』、最高温度を取り扱った『熱いやつ』である。2016/04/06
roughfractus02
10
本書は、自然を対象に限定して哲学から分離し、数学化が進んで専門分化した20世紀の科学全体を高みから眺めることを意図して書かれた1963年刊の科学エッセイである(原題"View From a Height")。冷戦下の核の脅威と米ソ宇宙開発競争でSFの危機が叫ばれる時期に、著者はSF作家かつ生化学者として文理に分裂した知を統合しようと多くの科学エッセイを著した。本書は科学史を動かした人物を中心にエピソード化し、科学的想像力(太陽系で生命がいる可能性のある星は?等)を駆使して日常での科学の扱い方を例示する。2023/08/18
セイタ
6
生物学者の著者が科学や物理学、天文学について想像を膨らませながら書いた本!空想とはいいつつも、空想の出発点が著者の科学に対する深い理解から出発しているので論自体も地に足がついている。なにより科学を「果樹園」にたとえ、入り組んだ果樹園の構造を読者に俯瞰させようという態度がたまらなく、かっこいい。個人的にはマクロな世界で用いられがちな「光」を細かく分割して、ミクロな世界に当てはめて著者の発想に畏敬の念を覚える。 「我はロボット」も読んでみよう!2018/10/23
misui
4
出版が1963年(アポロ以前!)なので今読む意義はあまりなさそうだが、それはともかく。アシモフの科学エッセイって何冊もあるけどどんなもんかなーと思って読んでみたがやっぱり取っ付きにくい。炭素や水によらない生化学、よく珪素生物とかが取り沙汰されるあれの入門的な章が本書にある(Wikipediaでは「代わりの生化学」の項目)。あと本当に恥ずかしながら華氏・摂氏の由来を初めて知った。人名だったのか。2021/04/19
はにまる
3
原題は"View From a Height"。日本語タイトルにある「空想」の要素は少ないが、自然科学に対するアシモフの切り込み方がユニーク。2020/01/31