出版社内容情報
ついに終結した第1次外惑星動乱。その戦後処理と兵器開発の裏側を描く連作長篇2作
谷 甲州[タニ コウシュウ]
内容説明
第1次外惑星動乱は、外惑星連合の敗北に終わった。ガニメデ宇宙軍所属の掃海艇CCR‐42は戦後処理のため、敵の航空宇宙軍が敷設した宇宙機雷の処分にあたっていた。その艇長・田沢が命じられた、機雷封鎖された小衛星ヒマリアでの極秘任務を描く『最後の戦闘航海』。外惑星動乱終盤から戦後40年にわたる、兵器開発の非情さと犠牲になった人間の哀しみを描く『星の墓標』。連作集2冊を合本した“航空宇宙軍史・完全版”第3弾。
著者等紹介
谷甲州[タニコウシュウ]
1951年兵庫県伊丹市生まれ。大阪工業大学土木工学科を卒業後、建設会社に勤務。退社後は、青年海外協力隊(ネパール)に参加しつつ、1979年“奇想天外”誌にてデビュー。以来、数多くのSF・冒険小説を発表している。22年ぶりのシリーズ最新刊『コロンビア・ゼロ新・航空宇宙軍史』(早川書房)で第36回日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MAEDA Toshiyuki まちかど読書会
27
航空宇宙軍軍令部第三部第六課・外宇宙探査ロックウッド少佐登場!!作業体Kとの出会い。緒方優がナレ死とは惨い。遺児ジャムナをカミンスキイ中佐が引き取ったのだろうか?ダンテ隊長もナレ死。タナトス戦闘団の戦後のどさくさの活躍が読みたかった。宇宙空間の過酷な戦闘に耐えるため、兵士をサイボーグ化する航空宇宙軍と外惑星連合軍が怖い。外宇宙まで敵を探し続ける航空宇宙軍。終わり無き索敵。敵ってなんだろう?でも敵がいたからラザルスは生き続けたし(でも最後は死を望んだ・・・)次はエリヌス戒厳令ですね。2017/03/18
タカシール
18
読み応えのある一冊。ハードSFの世界観の中で展開されるさまざまなドラマ、冒険、悲劇。これから四巻を読み始めます。2017/03/06
鐵太郎
17
第一次外惑星動乱の戦後後始末となった時代を描いた二つの短編集の合本。「最後の戦闘航海」は、木星系に散乱する宇宙機雷の除去を行う掃海艇の物語。衛星ヒマリアで行われていたプロジェクトの恐怖の結末は、いったい何だったのか。「星の墓標」は生物の脳を兵器として使う生体実験計画の末路と、それに玩ばれた人々の物語。タナトス戦闘団とダンテ隊長は、実はこれが初登場だったんだね。ジョーイ、タナトス、犠牲になった人々。この重い歴史は、現実でも繰りかえされるのかもしれない。2017/03/25
mahiro
12
敗戦の後航空宇宙軍の命によって過酷な機雷の処理任務にあたる掃海艇CCR42の乗員達、彼等がヒマリアの基地で遭遇した作業体Kへの感情は上層部の身勝手に振り回され、機械の部品並みの扱いで黙々と任務をこなし消えていく底辺の者同士の共感か。星の道標では非道な人体実験の末に消されようとした人々に対するダンテ隊長とタナトス戦闘団の面々の奮闘が頼もしくも悲しい。ダンテ、ランス、ロッドなどほんっと漢だよなあ・・と熱中した時代もありました。 2017/01/15
ひびキング
11
第3巻は戦争の影の部分をクローズアップした作品集。私の中では当時の記憶としてシャチのエピソードが非常に印象深く記憶に残っている。当時はSF界でクジラやイルカが内外問わず流行ってたような記憶が。改めて読むと動乱を歴史の一部とした淡々と語る他作品に比してドラマチックな演出が目立つ。「星の墓標」は一つ一つのエピソードが収斂して行く様が心に響くなぁ。誰もが故郷に帰りたい想いを強く胸に抱いているはず。2017/04/23