出版社内容情報
日本SF大賞受賞の傑作シリーズ
大幅な加筆修正・新装幀の完全版、刊行開始カリスト防衛軍陸戦隊のダンテ中佐の活躍を中心に、第一次外惑星動乱前夜の太陽系各勢力の緊迫した駆け引きを描く長篇2作を収録
谷 甲州[タニ コウシュウ]
内容説明
21世紀末、地球からの独立を望む外惑星連合は、航空宇宙軍を仮想敵として密かに軍事同盟を結んでいた。主戦派の急先鋒カリストを舞台に、外惑星連合の熾烈な駆け引きは錯綜していく―緊迫の第1次外惑星動乱前夜を描く『カリスト‐開戦前夜‐』カリスト防衛軍陸戦隊のダンテ隊長らによる月都市への潜入工作を描く『タナトス戦闘団』の2長篇を収録。大幅な加筆修正、新解説・新装幀で贈る“航空宇宙軍史・完全版”第1弾
著者等紹介
谷甲州[タニコウシュウ]
1951年兵庫県伊丹市生まれ。大阪工業大学土木工学科を卒業後、建設会社に勤務。退社後は、青年海外協力隊(ネパール)に参加しつつ、1979年“奇想天外”誌にてデビュー。『コロンビア・ゼロ新・航空宇宙軍史』(早川書房)で第36回日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MAEDA Toshiyuki まちかど読書会
37
懐かしい「航空宇宙軍史」完全版が出たのですね。カリスト開戦前夜とか、タイタン防衛軍仮装巡洋艦バシリスク、太陽を焦点とする双曲線軌道、太陽質量でスイングバイして外惑星に逃げる、などなどハードSF好きには堪らない。航空宇宙軍と戦争を始める外惑星連合軍はこれから果てしない絶望的な退却戦に突入するのですが、開戦前は不思議と明るい雰囲気だったのですね。このままでは10年先の未来は無いと、勝算の低い戦争を始めた政治家と軍上層部の罪は重い。改めて読むと若い頃とは異なる感想を抱く。再読の醍醐味ですね。2019/06/14
fukumasagami
29
21世紀末、人類は太陽系内の開発を進め、地球を中心とした消費経済圏とそこに資源供給を行う外惑星系に社会構造が分断され対立を生んだ。航空宇宙軍を擁する地球月連合は軍事力を持って、木星、土星を中心として地球圏からの独立を掲げる外惑星連合に圧力をかけるが、軍備を整えつつあった外惑星は反発を起こし、軍事衝突が起きる。この時代、地球での国家、民族間での紛争は解決しているらしく、地球圏と外惑星の対立が語られる。このシリーズ最初の作品が書かれたのが40年前で、21世紀の5分の1過ぎた現実は宇宙進出は追いつけそうにない。2021/08/28
タカシール
28
原著は30年くらい前のものであるが古さなど全く感じない。むしろ今だから堪能できたのかもしれない。技術者視点のハードSF。それは現在の生活の延長線上に描かれる近未来フィクション。ファンタジーではない。登場人物や世界観は現代の延長にある。SFの楽しさを味わえた。二巻は入手してあるのでこれから読みます(^^)2017/02/02
mahiro
24
作品は再読、あの航空宇宙軍史が作品中の時系列順に全て刊行されるとは嬉しい限りだ、カリストもタナトスも今読んでも設定も文も雰囲気も全然古くない、絶対的と言っていい支配力を持つ内惑星の航空宇宙軍に対し弱小の外宇宙諸国の不安や不満が蓄積してやがて行動となって現れる・・あたりの情勢が緊迫感を持って描かれている。なんと言ってもダンテ隊長とランスとの出会いやかつて馴染みの連中の登場が懐かしかった。再読といってもストーリーなど忘れてしまったのも多いので続刊が楽しみ。2016/11/29
とろとろ
24
光瀬龍的な近未来宇宙戦争ものだが一応未来の未来は明るい。物資が乏しくて人間をデータ化して保存するような暗い話ではなく、外宇宙でも人間が生活していてなんとなく明るい未来に希望を見るような世界観。最近、深宇宙からそれらしい電波が受信されているというニュースが報じられ、カルダシェフ尺度でタイプ2の文明かもしれぬということだが、これで今の地球文明の閉塞感を打破できるかもしれない。「天冥の標」でも異文明人が出てきて重要な役割を果たしているが、この話とは全く関係ない訳では無いと思ったり……。2016/09/02