出版社内容情報
単行本版発売から現在までを総括する、3万字の語りおろし追加原稿を収録
かつて社会は「大きな物語」に支えられていた。その効力が失われた今、私たちはどう生きていくべきなのか。ゼロ年代に生まれた想像力は新たな物語を提示しえたのか――。文学、アニメ、ゲームからテレビドラマまでを縦横無尽に論じ、停滞する「批評」を1冊で再起動させた、宇野常寛による衝撃のデビュー評論。2008年の単行本版発売以降、3.11後までを総括する、4万1千字の語りおろし原稿を追加して待望の文庫化。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
41
著者が行っていることは、東浩紀という父(兄)殺しです。先行世代を乗り越えるモチーフはオイディプスから来ており、このギリシャ的な想像力は、著者のもう一人の心酔者・宮台真司の持論です。「大きな物語」を無効にする背景には、共に著者が大きな影響を受けている東(90年代)に対する批判を、その前の世代の宮台(80年代)の考え方に因っているという、「大きな物語」の地に描かれた図としても読むことができます。2章にある、東のキャラクター論に対する批判も、宮台と同じコミュニタリアニズムの立場が論拠となっています。しかし、閉じ2019/11/30
壱萬参仟縁
32
‘08年初出。キャラクターは一次著作から独立し、二次創作で改変され消費されることで、その設定をより徹底して承認させる共同性と、その共同性を規定する物語をメタレベルで再強化する(54頁)。まったり革命とは、社会的自己実現への信頼が低下した’95年以降の中で、生きる意味を求めるのはやめ、楽しい気持いいことを消費して、終わりなき日常をまったりとやりすごして快適に生きようという発想(91頁)。北田暁大は自己目的化したコミュニケーションが生む社会性=つながりの社会性を提唱。2014/12/29
ホークス
29
「良い事を言っているのに、やたら好戦的な言い方する奴だなぁ」が第一印象。根拠が無いとしても個人で物語を選ぶしかない現代に、私達が志向すべきは、困難であってもコミュニケーションに活路を見いだす事、と言う主張に共感した。著者は言説故に、自分の物語に固着する人達(権威者含む)から攻撃を受けており、それが好戦的な論調を生むのだろう。他「新教養主義」の一節に深く頷いた。今大人が子供にしてやれる事は、彼らがより謙虚に柔軟性を持って選択できる様、試行錯誤の機会を与える事。あとはただ祈るのみ。自由の素晴らしさと切なさよ。2015/09/20
アナクマ
27
(p.126)リヴァイアスの少年少女たちを追い詰めていたのは、宇宙漂流という過酷な状況と同じくらい、いや、ある意味それ以上に、目に見える範囲での人間関係と、自意識の問題である。◉(p.310)かつて変身とはエゴの強化だった。だが現在において変身とは、コミュニケーション——自分とは違う誰かに手を伸ばすことである。2018/10/20
白義
22
広範なカルチャーと社会の潮流を結び付け、閉塞から交流にという方向を促した本。宇野史観というものが前提にあって、そこから恣意的に名作たちを繋げていて個々の解釈、その史観には結構異論もあるけど、話としてはこういうのあるのかと納得。他者を排除する島宇宙内への閉塞の打破というのにはかなり共感を抱いたのだけど、決断を強いられる環境で他者とのコミュニケーションに励む、という土台が強く前提されすぎなのは個人的には頷けない。本書の推薦する自己啓発的な側面、連結的な想像力自体が違う排除と閉塞を招く危険性も感じた2012/11/05
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