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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
102
はははははっ、と読み終わった時に可笑しくて大笑いした。『幼年期の終り』や『宇宙のランデブー』と言った代表作と異なり、クラークのユーモアのセンスが前面に出た作品だった。イギリスのパブ白鹿亭綺譚に集まった面々が話すほら話の数々。ほら話と言っても、そこはクラークのことだから科学的なディテールを整えてもっともらしく組み立てられている。一つの長編が書けそうなアイディアが多く投入されており、それを味わう楽しみもある。世の男どもと同じようにクラークも奥さんを恐れていたのだろうか。(笑)2014/01/15
ぜんこう
24
クラークらしく、もしかしたら現実にあったのかもとか思えてしまうような ほら話が15編。 ちょこちょこ読むのにいい長さ。 クラークの長編もいいけど、こんなのも面白くていいですね。2019/02/16
ミツ
20
毎週水曜日の夜、ロンドンのせせこましい裏通りのパブ“白鹿亭”に集う知的酔狂者を前に語られる16のSF法螺話。あのお堅いクラークがこんなユーモラスな話を!短編ということもあるけれど、どれも軽妙で読みやすい。宇宙要素は無く壮大ではないが、物理学、化学、生物学、生理学、とかく科学全般に関するありえるかもしれない(事実今現在では一部実現している)アイディアがふんだんに詰め込まれており、飽きることなく読めた。そして毎回お約束ともいえるオチを迎える度にクスリと笑ってしまう。なるほど確かに「ドラえもん」だなぁ。2016/01/06
白義
19
奇想天外な発明を使った人間が調子に乗って慢心からしっぺ返しを食らう。要するに話の型は「ドラえもん」であり、へそ曲がりで軍事的なことについて聞かれるとキレる軍事コンピュータやらセックスの快楽を保存して共有可能にする装置やら、秀逸な発想を妙にディテール細かに、しょうもないオチをつけるので軽くあっという間に読める。おまけにクラークらしくそのしょうもないオチの中に一抹の文明批評をこめているとあっては、まさしくドラえもんそのものの世界。最後に語り部のハリーにしっぺ返しが来るところもニヤリとする2013/10/02
roughfractus02
12
字義通りに解釈していたら比喩だった。そんなコミュニケーションモードがシフトする際、シフト前のエピソードが圧縮され枠づけられて笑いが起こるという(そんなこと言ったかねー、ゴーン[モンティ・パイソンより])。科学を用いた笑い話を15編集めた本書は、1階が大衆向酒場、2階が高級酒場の構造の白鹿亭に集まる人々が科学をネタにしたほら話を聞く。そして読者は、科学の話の2階から1階のほら話に移動するようにモードを変える。最後の批評的なオチを読むと、この構造が科学と虚構を合わせたSF作品のパターンを指すように思えてくる。2023/10/14