出版社内容情報
物語とは何か。物語は社会でどのように生きているか。日本、沖縄、アイヌで営々と伝えられてきた言葉を投げかけ、アジアから発想する新たな理論の構築をこころみる。
内容説明
物語とは何か。物語は社会でどのように生きているか。うた、神話、昔話、古典文学をとらえ、アジアからの物語の方法を構築する。藤井物語論の集成。
目次
1 物語理論の進入点(ものがたりとふること;うたとは何か;うたの詩学;語り手を導きいれる)
2 物語理論の基底と拡大(神話から歴史へ;神話的思考;語り物を聴く;口承文学とは何か;昔話の性格;アイヌ語という言語の物語)
3 物語理論の水面と移動(物語人称;作者の隠れ方 ;談話からの物語の発生;物語自称;テススト作りと現代語訳)
4 物語理論の思想像(『源氏物語』と婚姻規制;物語と精神分析;構造主義のかなたへ)
著者等紹介
藤井貞和[フジイサダカズ]
1942年生まれ。立正大学文学部教授、東京大学名誉教授。日本古典文学、言語態分析
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感想・レビュー
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nranjen
7
図書館本。非常に面白かった。バルトの「作者の死」によってて作者の権威は引きずりおろされそこに読者が据えられた訳だが、物語そのものを成立させる他者なる「語り手」の軽視を著者は問題視する。そこで、これまでの一、二、三人称に加え、源氏物語、アイヌ神話、口承物語に対して、語り手人称(ゼロ人称)、作者人称(無人称)、アイヌ神話などの自叙排除的な物語人称(四人称)を導入して分析をするのだが、それが非常に面白い。ゼロ人称と無人称の視点を設けることによって今まで頭を悩ませてきた曖昧さは払拭されるように思われる。2020/09/13
たっきー
2
藤井貞和が自分の研究人生を振り返っているのを読まされている感じ。確かに国文学の第一線で研究を牽引したのだと思うし、その経験は貴重でしょう。ですがが、やはりこのような内容は飲み会でお弟子さんを前にでもやってほしい。時折述べられる理論は鋭いと思いますが。2014/07/05