感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みか
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『箱にはいった男』:表題から真っ先に思い浮かんだのが、安部公房でした。読んでみて、その予想は良い意味で裏切られましたが、箱というモチーフは、外界から自分自身を守る防護装置を意味しており、古今東西共通する概念であることが分かり、興味深く思いました。 チェーホフは、この「箱男」というイメージは、チェーホフの作品に以前も登場しています。『六号室』のラーギンです。彼も、外界から固く心を閉ざしていました。しかし、ラーギンと同様、ベーリコフは死を迎えます。それが象徴する意味も、ラーギンの場合と同様であると思います。2006/08/10