出版社内容情報
ルネサンスからロココにいたる西欧絵画を集大成。原画の色調はもとより徴妙なニュアンスをも忠実に再現。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
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エル・グレコは紛れもなくマニエリスムの画家なのだが、構図や色彩からはバロックを予見していたかのように見える。例えば「羊飼いたちの礼拝」(2点あって①バレンシア・個人蔵と②ルーマニア国立美術館蔵)や、名高い「オルガス伯爵の埋葬」(トレド・サントメー教会)。また、「ラオコーン群像」(ワシントン・ナショナルギャラリー蔵)は、キューブの先駆けのように見えなくもない。さらにはゴヤを連想させる絵もあるが、いずれにしても、かなり独自の画風であり、表紙の婦人像(聖女アンナ)の表情などからもそれは見てとれるだろう。2021/12/15