出版社内容情報
ルネサンスからロココにいたる西欧絵画を集大成。原画の色調はもとより徴妙なニュアンスをも忠実に再現。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
349
ラファエロの描く聖母は、「グランドゥカの聖母」(ピッティ美術館)をはじめ、いずれも非の打ち所のない美しさである。それは聖母像に限らず、バチカンの「アテネ学堂」のような大作においても、また肖像画においてもそうである。解説で高階秀爾氏は「ラファエロの天才は、差異性によるのではなく、普遍性に基づいている」と述べるが、まさにそれゆえに個性の喪失と見なされもしたのだろう。確かにラファエロを美しいと言う時に、ある種の躊躇いを感じてしまうこともまた事実なのだから。磔刑図などはことにそうだが、天使の飛翔の浮遊感などは⇒2021/11/20