内容説明
江戸伝来の木造建築から近代建築へ移行する草創期の建築界と、今は滅びた明治の職人の世界、下町風情を、江戸前の歯切れのよい文章でいきいきと描いた好随筆。とりわけ当時の職人の気質・美風、生活などを綴った「職人」の1章は、父から聞いた江戸職人の話、また自らの体験とあいまって、興味深く語られており、職人の風俗史として貴重な証言となっている。日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
目次
職人(神田祭り;印半纏;腕と格式;請負師 ほか)
小僧から工手学校へ(道具の切れ味;斎藤親方と訣別;志を立つ;横河工務所勤務 ほか)
建築技手―鐘紡時代(仕事のやり方「煉瓦積み」;鉄骨の建て方・トラスの上げ方;左官の仕事;今日のペンキ仕事 ほか)
北海道(苫小牧工場の建築係;コンクリート練りと煉瓦積みの仕事;早稲田大学へ ほか)