出版社内容情報
太平洋戦争の天王山・レイテ島での死闘を再現し戦争と人間を鋭く追求した戦記文学の金字塔。本巻では「一 第十六師団」から「十三 リモン峠」までを収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
32
「死んだ兵士たちに」というエピグラフが示すように鎮魂の書なのだけれど、感傷や詠嘆は排除されて、ほとんど無味乾燥といえるほどの精細さで、この泥沼の戦いの一コマ一コマを再現してゆく。敵味方どちらにも偏らない公正さを目指しているように見える筆致は、神などいるはずもないが、もし神がいたらどのように見ただろうかという視点にたっているように思える。不正確な地図しかないジャングルで雨季の激しい雨に濡れながら死力を尽くして戦い死んでいった無名の兵士ひとりひとりを公正に描くことこそが彼らを正義をもって供養することなのだ2022/01/09
金吾
21
詳細な調べの下にレイテを陸戦のみならず海戦も再現しています。記録文学とはこういうものかと実感しました。興味深かい話ですが、読み返しが多いため、なかなか読み進められないです。2021/08/02
ジュン
17
大岡昇平『レイテ戦記』(中公文庫)。おびただしい死、作戦上のミス、高級将校の無責任。無謀な作戦に殺された兵士の追悼作品であるが、大岡昇平の優れたところは「本当にして最大の犠牲者は戦場にされたフィリピン人たちではなかったか」と問うているところ。この視点なしに太平洋戦争は語れない。2018/02/07
yummyrin
16
圧倒的な戦力の差にひたすら向かって行く日本軍、軍上層部の暗愚な判断に命を失っていく兵士。それぞれの兵士が生きてきた過去やこれからの未来を考える。命の数が淡々としるされる。これが戦争なのだ。2017/04/10
CTC
14
戦記読みを自認しつつ、この日迄読まずにきた本書。何故ならこの本に書かれているであろう事は、台湾沖航空戦大誤報の件であったり、特攻の事であったり、栗田艦隊の謎の回頭であったり…短期間に34万もの将兵の命が呑み込まれる悲劇を(レイテのみとしても8万…)ひとつひとつ確認するのは辛かったからだ。それでもこの70年前の出来事を、40年前に「私が事実と判断したものを、出来るだけ詳しく書くつもりである。(中略)それが戦って死んだ者の霊を慰める唯一のものだと思っている。」と記した著者の心を知れば、読まぬ訳にはいかない。2015/02/17
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