中公新書<br> 武家の棟梁の条件―中世武士を見なおす

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中公新書
武家の棟梁の条件―中世武士を見なおす

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  • サイズ 新書判/ページ数 188p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121012173
  • NDC分類 210.4
  • Cコード C1221

内容説明

現代の日本人がイメージする高潔で忠義を重んじる武士像は、近世に概念化され、明治以降、国家主義的教育の中で作られたものであり、本来、武士とは、「政治史的にはこの上もなく」暴力的性格の社会集団で、「職業的な殺し屋」的存在だった。この集団を束ねた「棟梁」とはなにか。その条件は。なぜ武家政権がかくも長期にわたって存続し得たのか。武士の本質と肖像を社会史的職能論により捉え、そこに浮かび上がる日本の中世を考える。

目次

1 棟梁の条件
2 幕府の草創と武芸故実
3 「武都」鎌倉の成立
4 鎮守府将軍と征夷大将軍
5 東国的武士社会のひろがり

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さすらいの雑魚

37
鎌倉殿の13人が面白すぎてノー興味だった鎌倉時代ものを読んでみた感じ。死と穢れを忌み嫌い恐れた朝廷と、死と穢れを恐れず武勇の誉れとする坂東武者との間に立ち、朝廷にとっては穢れへの防壁役であり、坂東武者達のアイドルであり代弁者でもある。そんな軍事貴族≒武家の棟梁の二面性を語る良書。鎌倉殿の13人で言うなら、なぜ上皇が源家将軍に親しみ北条義時を排斥するのか、わかるような気がする。上皇にとって北条義時は剥き出しの坂東武者そのもの。それも朋友同僚を容赦なく殺戮し、内ゲバを制した鬼畜の親玉だもの。もはや物怪だよ。2022/12/14

Kiyoshi Utsugi

18
・棟梁の条件 ・幕府の草創と武芸故実 ・「武都」鎌倉の成立 ・鎮守府将軍と征夷大将軍 ・東国的武士社会のひろがり から構成されています。 結構誤解をしていたことがあったということを知りました。 鎮守府将軍ですが、明治から昭和初期にかけて存在した海軍に鎮守府というものがあったので、日本のいくつか主要なところに設けられた鎮守府を束ねるのが鎮守府将軍かと思っていたのですが、古代蝦夷経営のために陸奥国に置かれたのが鎮守府だったのですね。 結構武士像を誤解していたことも分かりました。😅2020/04/07

駒場

4
もともと武士に憧れて史学者としての道を歩んだ著者による、武士を全面的に肯定・賛美する風潮に待ったをかける本。そのはじまりたる中世武士に求められる資質とはなんだったのか(武芸、情報・弁論、棟梁の資質)、ヤクザに過ぎなかった武士を頼朝がどのように家人化したか、初期の武士に求められた辟邪の武とは、東国武士社会はどう形成され、それがどう伝播して近代を経て日本人が「総武士化」したのか。中世史の理解からはじまり、武家政権が驚くほど長く定着した日本社会がどうかたちづくられたかを著者なりに示している2016/05/05

おらひらお

4
1994年初版。武士の棟梁の源流となる源義家像の成立過程をまとめた本です。著者の指摘の通り、現代では武士を以上に美化しているような気がしますね。2012/09/26

kj54

3
面白かった。 約四半世紀前の本だし、どれだけ妥当なのかは私にはわからないけど、中世における武士団の成り立ちと、近世・近代およぼした影響について楽しく読んだ。 征「夷」大将軍であるのにの攘「夷」が出来なかったので江戸幕府が倒れるのは必定であるとか。宿敵である薩摩藩と会津藩の類似性とその理由とか。武家的な性格を持つ政権はWWⅡ後まで続いた(というか明治以降の日本は武家化した天皇を頂いていた)とか。 ブームには乗り遅れたが、しばらく日本中世史の本を読み散らかそうか。 2019/03/05

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