中公新書
宦官 - 側近政治の構造

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  • サイズ 新書判/ページ数 221p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121000071
  • NDC分類 222.004

出版社内容情報

中国の歴史において宦官のはたした役割は実に大きい。清朝の歴史家は、各王朝ともその衰亡の原因が宦官にあったことを指摘する。過去四千年にわたる専制君主と表裏一体をなして生きながらえた宦官の研究は、単なる好奇心を越えて、中国史の重要な課題の一つである。宦官とはなにかから説きおこして、宦官のもっとも活躍した漢・唐・明代を中心に、それぞれの、時代を背景にした特色を指摘する。毎日出版文化賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

isao_key

14
京都帝国大学東洋史学科を卒業された中国史学の碩学である著者の書。宦官の基本文献と言えば、今も昔も本書で間違いない。宦官の成り立ちから歴史的経緯を追い、中国歴史上いかに宦官が暗躍、または必要悪としながら清朝まで生きながらえてこられたかを考察している。宦官は権力者たちと時には手を組み、またはその力を誇示して皇帝を謀殺したり、失脚させたりするほどの影響力を及ぼした。纏足と並ぶ中国史上の暗部である。著者には、ぜひ纏足についての本も書いて欲しかった。本書は、一般的には知られていない歴史書から多くの引用を得ている。2016/02/27

ヨクト

11
浅田次郎「蒼穹の昴」で興味を持った。なぜ宦官という奇妙な人種が中国には存在し、権力を行使していたのか。彼らが生まれた理由や重宝された理由。知れば知るほど不可解だ。でもとりあえず、日本が宦官という文化を輸入しなかったこと、宦官という文化が現代にはないことは本当に良かったと思う。宦官、嫌いじゃないですよ。だって「蒼穹の昴」の主人公の李春雲が素敵だもん。2013/09/28

活字の旅遊人

9
「科挙」に続いて再挑戦。こっちは宦官の生理的な作り方だけ読んで、嫌悪して止めたはず。今回は、その先の社会的な、歴史的なところもしっかり堪能できた。科挙よりももちろん古くからあるシステムで、性嗜好的な面もあるから判断しづらいが、この二つが併存し、善悪混ぜて機能していた明朝の詳細がより知りたくなった。本書は宦官を話のきっかけにして、則天武后を始めとする女性権力者の歴史も詳述している。物語的な記述になっているところも多く、読みやすかった。この先、科挙と宦官を輸入しなかった日本の判断と思考を見つめてみたい。2020/11/29

キニマ

5
中国で皇帝の世話役であり部下としての機能を果たした宦官という特殊な人間。生殖能力を放棄しお上に使えようとする宦官がなぜ中国に存在し、お上はそういった人間を側近に置いたのか、また女禍と宦官の結びつきによって引き起こされた中国社会の独裁など現代社会では何かと適切ではない解釈をされている宦官について時代変化などを踏まえ詳しく綴られている。一度の通読では理解したとはいえないが今の世界では理解しえない世界にわずかながら浸ることができたのは良い読書となったと感じる。2018/03/08

いわいわし

4
久しぶりに本棚を整理していて発掘、パラパラと再読。大学時代にゼミの担当箇所(漢文資料読解)で必要だった為に購入。浅田次郎著『蒼穹の昴』には宦官になる為の処置が生々しく描写されていますが、その辺りはこちらを参考に書かれています。2015/03/22

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