内容説明
「人を愛してはならない」が仏教の教え!?―仏教・キリスト教・イスラム教・ユダヤ教など諸宗教は“愛”をいかに定義・解釈し、どのように説いているのか。教典の引用や具体的な事例を用いてわかりやすく解明していく。さらに、子育ての問題や恋愛・結婚事情から、宗教的対立に基づいた国際紛争まで、現代社会の諸問題と“愛”の概念の関係を考察する。
目次
第1章 人間が商品化された現代日本の悲劇
第2章 愛してはならないという仏教の教え
第3章 隣人は愛し、敵は憎めという神からの命令
第4章 宗教と倫理の違いについて
第5章 敵をも愛せというキリスト教の教え
第6章 苦しみをじっと見つづける仏の慈悲
著者等紹介
ひろさちや[ヒロサチヤ]
1936年大阪府生れ。東京大学文学部印度哲学科卒、同大学院修了。85年まで気象大学校教授。教壇で哲学を講ずる傍ら、旺盛な執筆・講演活動で仏教を中心とした宗教問題の啓蒙家として知られる
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感想・レビュー
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pecota
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仏教、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教を中心に各宗教の神と人の関係と愛を解説した本。ユ教、イ教が神と契約を結び、神の定めを守る間は庇護を受ける契約宗教なのに対し、仏教とキ教は神仏が地上の全員に慈悲/愛?注いでいると気づいた者が信者となる自覚宗教である。ユ教が旧約聖書で現実論を説くのに対し、キ教は旧約聖書の考えを突き詰めた理想論を語っている。愛とは、つまるところ利益を被る対象を選ぶこと、即ち同時に他に不利益をあたえる自分中心の行為である。ゆえに一切衆生に慈悲を向けることを説く仏教では愛するなと説かれている。2020/03/03