内容説明
ナショナリズムの国際政治学入門。地中海の不沈空母キプロスは、民族間抗争と米ソの介入ゆえに難破した。世界各地で続発する国際テロや局地戦の背景を、単一民族たる日本人に分りやすく解説する。
目次
序章 複合民族国家の危うさ
第1章 「大統領作戦」の開始
第2章 「赤い坊主」は死んだか?
第3章 世界に広がる波紋
第4章 嵐の前
第5章 戦渦のキプロス
第6章 「ツーリストのダンケルク」
第7章 ギリシアの異変
第8章 ギリシア軍事政権の崩壊
第9章 「日曜に娘を訪問させます」
第10章 憎悪の女神の乱舞
第11章 エーゲ海の美しい島で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
地中海の要衝キプロスが、1974年にギリシャ系とトルコ系との間で国家分裂に至った経緯を、歴史的背景も交えて解説した、日本では数少ない内容の本。「複合民族国家の悲劇」という書名の通り、異なる民族が共存していくことが、時にとても難しい状況があることを教えてくれる。日本人の「話し合えば」みたいな牧歌的発想では対処出来ない現実がここにはある。元々少数派だったトルコ人が各地に雑居していた問題、ギリシャ系内部でキプロスの情勢認識に路線対立、そこに"本国"のギリシャとトルコの事情も絡み、今尚キプロスは分裂国家だ。2019/04/16
ちゃせん
0
キプロスにおける紛争(どちらかというとキプロスという主権国家としての問題というよりはギリシャとトルコを軸にした対立)から、ナショナリズムについて述べた本。30年以上昔の著作ですが、国家とは、民族とは、というテーマは現代でも全く同じようにして通じると思います。文章そのものも臨場感たっぷりで、読み物としても非常に面白く読めました。2017/10/16
アキコ
0
地中海の島「キプロス」からナショナリズムを考える本。1974年に起きたキプロス戦争について臨場感のある文章で書かれています。序章に複合民族国家の危うさについて書かれてあり、ここだけでも日本人には読んでほしい内容です。2015/10/02