コカイン・ナイト

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  • サイズ B6判/ページ数 358p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105414016
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

凶悪殺人の罪に問われた弟の無実を示すべく、旅行作家は地中海の高級リゾートをさまよう。だが、そこは倦怠と欲望のみが君臨する、恐るべき迷宮だった…。名作『結晶世界』『クラッシュ』を超え、サイコ・サスペンスとスペキュラティヴ(思弁的)・フィクションが劇的に融合する。

著者等紹介

バラード,J.G.[バラード,J.G.][Ballard,J.G.]
1930年、上海生まれ。46年にイギリスに帰国し、大学卒業後、サイエンス・ライターなどを経て、56年にSF作家としてデビュー。人間の心理を災厄的なSF的異世界の内にとらえた『沈んだ世界』(62)、『結晶世界』(66)など、それまでのアメリカSFには見られなかった思弁性、文学性で独自の地位を築く。70年代にはさらに、現在の科学・テクノロジーと人間精神との関係性を考察する『残虐行為展覧会』(70)、『クラッシュ』(73)といった実験的前衛作品を次々と発表、同時に、新しいSFを探求する“ニューウェーブ運動”の理論的先導者として、映画や音楽、アートなど、SFにとどまらない多様な領域に大きな影響を与えた。84年には、のちにS・スピルバーグ監督によって映画化される自伝的小説『太陽の帝国』を発表。90年代に入ってからも、本書『コカイン・ナイト』(96)、『スーパー・カンヌ』(2000)と、さらに新しい小説世界の探求を続けている

山田和子[ヤマダカズコ]
1951年、北九州市生まれ。慶応義塾大学文学部独文科中退。1973年より「季刊NW SF」誌編集長として、J・G・バラードをはじめとする英米、その他の国々の先鋭的SFの紹介に務め、同時に評論家として「週刊読書人」紙のSF時評などを担当。現在は、小説、科学技術、現代思想など、幅広い分野で、翻訳・編集・執筆活動を続ける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ボーダレス

14
窃盗・ドラッグ・売春という形の犯罪形態は、良くも悪くも人間を覚醒させるものであるということを本書は語っている。それに加え、集団的心理の内包された脅威から狂気の領域に迷いこんでいく人々の弱さをサイコミステリー形式で描いている。二段組358ページ、冗長気味ではあるが読み応えがあった。2019/03/03

ヱロ本Gメン

10
再読。現代社会そして近未来分析としては面白いが、小説としてはどうなんだろうか。あまり心動かされるモノは無かった。犯罪の類が生温く感じられるし(これは致し方ないか?)、宗教と政治はより虚脱感を深め現実を蝕んでいる。そしてそれによりバラードの予言した世界の昼寝化はより深く進行している。しかも昼寝はVRというバックアップを得て映画製作機能を手にしまった。今この現実世界のクロフォードは銃弾では死ぬことがないのだ。今や昼寝は悪夢となり目覚めることはより難しい。2016/01/10

takao

4
ふむ2023/12/05

ピクミン

3
「病理社会の心理学三部作」の一つとして社会の病理を扱った作品ではあるものの、先に読んだ「千年紀の民」と比べると社会実験の要素を強く感じた。あるいは現代版「風が吹けば桶屋が儲かる」か。コスタ・デル・ソルの住民みたいな海外領土で余暇を過ごす富裕層の退職者達が病んでいようが活発だろうが、社会の病理を語るにはあまりにもどうでもいい存在なのが少しズレている気がする。犯罪によって住民の精神を呼び起こして街を活性化させるボビー・クロフォードは「夢幻会社」のブレイクを彷彿とさせるものがある。2019/05/31

澤水月

3
高級リゾート地の倦怠の裏に隠された悪夢の迷宮に震撼。よりテーマを先鋭化すると「千年紀の民」になるのか2012/01/07

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