内容説明
15歳になった僕は二度と戻らない旅に出た。彼は長身で、寡黙だった。金属を混ぜ込んだような強い筋肉を持ち、世界でいちばんタフな15歳の少年になりたいと思っていた。東京都中野区にもしある日、空から突然2000匹の生きた魚が路上に落ちてきたら、人々は驚かないわけにはいかないだろう。多くのネコたちは名前を持たない。多くのネコたちは言葉をもたない。しかしそこには言葉を持たず、名前を持たない悪夢がある。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
74
図書館に住み込む少年の話あったなー、って、思い出したら急に読みたくなって再読した。前に読んだのはもう10年前、そのときは「村上春樹すごい!」って夢中になって読んだけど、私も10年分年をとったせいか、ちょっと気恥ずかしい気分になるような描写もあった。けれどやはり言葉が美しくて、春樹らしいまわりくどい言い回しとか、キザなセリフとか、春樹ワールドなんだなぁ・・・と、再確認。ファンタジーと現実が入り混じったカフカ少年のさすらいの行き着く先は・・・覚えてないので、やはり下巻も再読しようと思う。2013/08/03
mug
64
村上春樹氏、初挑戦。 勝手に苦手意識を持っていて、ずっと手を出せなかったんだけれど… すごく面白いじゃん!笑 今までなんて勿体ないことをしていたんだろう…😳 カフカ少年と、ナカタさんの今後が気になる😊 下巻へ💨💨2021/10/24
きいち
48
村上春樹作品で好きな小説の一つ、何年かおきにふと手に取って再読してしまう。◇大島さんの怒り。このエピソード自体のスッキリ感は決して後味のよいものではないけれど、村上春樹が卵のスピーチはじめさまざまな場所で語っているこの「想像力を欠いた人々への怒り」がかなりストレートに表出されていて、とてもいい。サエキさんも大島さんも、自らも同じように行動してしまう可能性があることだって、想像できているし。◇今回一番惹かれたのは甲村記念図書館のたたずまい。一日ここで本読んで、休憩に庭でおいしいコーヒー飲んで。至福だよなあ。2015/06/27
キク
47
村上長編にあって、本作だけが少年を主人公にしている。ジャズバーの経営を経てからデビューした村上春樹にとって、少年というのはすでに過ぎ去ってしまった場所で、初期にはそこを描く技術がまだなくて、中堅以降は描く対象としての興味がなかったんじゃないかと思う。でも今作で少年を描いた。「世界でいちばんタフな15歳の少年にならなくちゃいけない。なにがあろうと」という主人公の少年の決意は、きっと在りし日の村上春樹の決意だ。作家としての村上春樹が目指す場所を明確にするためには、それを語る決意が必要になったんだと思う。2025/05/30
りなお
43
図書館本。再読。やっぱり面白い。田村カフカくんとタナカさんがどう接点を持つのか楽しみ。大島さんの世界観が悟りの境地のようで切ない●早いうちからいろんなことをきっちり決めつけない方がいいよ。世の中に絶対ってことはないから。ジョニー・ウォーカーは気持ち悪いけど言わんとすることはわかる●先を見すぎると、足元がおろそかになり、人は往々にして転ぶ。かと言って足もとの細かいところだけ見てもいけない。よく前を見ないと何かにぶつかることになる。少しだけ前を見ながら、手順に従ってきちんと物事を処理していく。こいつが肝要だ。2021/08/01