内容説明
記紀にその名がしるされ、万葉びとが畏れを抱き、平安歌人によって歌われ、俳人芭蕉はその雄峰を讃じ、北斎や大雅を魅了しつづけ、宮沢賢治が四行詩に歌った、日本人の生活と精神的風土に深く結ばれてきた名峰百座の個性を、簡潔な文章に凝縮させた山岳随想の古典。
目次
利尻岳
羅臼岳
斜里岳
阿寒岳
大雪山
トムラウシ
十勝岳
幌尻岳
後方羊蹄山
岩木山
八甲田山
八幡平
岩手山
早池峰
鳥海山
月山
朝日岳
蔵王山
飯豊山
吾妻山〔ほか〕
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にく9
18
30座越えたあたりからいくつ登ったか数えてない。。百名山よりも何度も行ってしまう山って幾つかあるので、各個人のベスト100名山があれば良いと思う(昔から百名山についてはよく言われてることだけど)。2015/05/02
ぽんくまそ
6
山に詳しくなった。ただし「生前の深田さんが最も忌み嫌っていた類の人間とは、これは確信をもって言えますが、ほかならぬ深田百名山をそのままなぞっているような人々なのです。」親交があった本多勝一の言葉である。この本を読むとそうだろうと思う。猫も杓子も百名山という趣味登山界の悪習は肝心の山を荒らしている。北海道で山を登っている人が百名山だから来たと言うのをぼくも耳にした。彼らはこの本を読まずして百名山をありがたがっているのだ。山名の語源探しからその山を愛でてきた先人に思いをはせる山行経験は反俗へのベクトルなのだ。2022/06/04
やっちゃん
6
全部登っていても季節を変えて、違うルートで、別の人と、今度は泊まりで、今度こそ晴れた日にと色々なモチベーションで気づけば2巡3巡するくらい魅力のある百名山。この本をおざなりに読むだけでなく読んで気になる山に一座でも登って深田久弥の見た景色を実際に体感して欲しいな。2021/04/09
templecity
4
深田久弥の原本を始めて読んだわけだが、50年以上も前の登山記録で、当時と環境が違うことを感じる。交通機関や開通していない道路もある。装備の違いなのか、多数遭難する話も出て来る。全て頂上まで行けたということは入山規制もおおらかだったのと思われる。GPSもスマホの地図もなく、5万分の1の地図とコンパスで登ったわけだ。また、登山者が増えて、ゴミや空き缶が散乱している記述も出て来るが、この辺は、現在は遥かにマナーが向上しているように思える。(続きあり)2018/06/09
しゅんどーん
2
私の登山ライフのバイブル。一冊通して読んだのはこれが初めてだった。登ったことがない山もある山も、その雄大な姿がまぶたの裏に鮮やかに浮かび上がってくるようだった。八ヶ岳が秀逸。「頂上からの放射線上の展望は天下一品である。どちらを眺めても、目の下には豊かな裾が広がり、その果てを限ってすべての山々が見渡せる。」戦前まだ登山道が整備される前は、獣道や沢を分け入って、長い時間をかけて登っていた。登山口に至るまでの道のりも大変苦労するものだった。その情熱に頭が下がる思いだ。2022/08/30