新潮文庫
遠い「山びこ」―無着成恭と教え子たちの四十年

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  • サイズ 文庫判/ページ数 514p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101316376
  • NDC分類 370.4
  • Cコード C0195

内容説明

昭和23年、山形の寒村に赴任した新任教師が世に問うた、作文集「山びこ学校」。そこに描かれたそのひたむきな子たちの姿は、大反響を呼び、戦後民主主義教育の金字塔とまで讃えられた―。20代で教育界の寵児となった男と43人の教え子たちのその後40年。高度成長、教育変革、そして日本人の意識の変化…。昭和という時代に翻弄されながらも懸命に生きた、それぞれの人生の証を追う。

目次

「そらはら」の子供たち
ジャーナリスト人脈
「母の死とその後」
檀那寺の跡とり
翻弄される山村
素足の卒業式
幻の「きかんしゃ」発掘
谷間の英雄
村からの追放
都会に出た十一人
江一の沈黙
藤三郎の闘い
明星の無着成恭

著者等紹介

佐野真一[サノシンイチ]
1947(昭和22)年東京生れ。出版社勤務を経てノンフィクション作家に。主著に、宮本常一と渋沢敬三の交流を描いた『旅する巨人』(大宅賞)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

87
山形県山元中学の子供たち43人のその後を 追った作品である。庶民のありのままの 戦後史でもある。 当時25歳の無着という教師は その後 どういう人生を辿ったのか? 一躍教育界のスターとなった無着の苦悩の後が 丹念に描かれる。戦後教育の変遷を辿る旅とも 言える作品だった。 2023/09/12

ころりんぱ

48
山びこ学校を読んで感動し、その後の40年を追ったというこの本を手に取ったのですが、予想と全然違う着地点…でも…というか、だからこそ面白かったし読んで良かったです。山びこ学校は国家主体の教育が機能を失った戦後に彗星の如く現れた教育実践の書だったのだということがよくわかりました。無着先生と子どもたちのその3年間は真心のこもった本物の教育だったと思います。が、マスコミに取り上げられ有名になったことで社会のあらゆる権力に翻弄され、その客観的価値が変わってしまったように思いました。2015/05/29

きいち

24
昨日読み終わった『山びこ学校』の各編が次々と思い出されてもう止まらない、500ページ一気に行ってしまった。級長・佐藤藤三郎の答辞、そして江一への言葉のシーンでは、思いっきり涙腺が緩んでしまった。◇無着への「神話外し」のルポルタージュではあるが、教育の成果とは確かに、何十年もたって後、受けた生徒の生活の充実と世の中への寄与(受けなかった場合との差)で測られるもの。短期的には、その場所では、評価されない可能性はある。その教育の価値の高さが実感できるのは、著者があきらめずに43人全員を追いかけてくれたおかげだ。2014/05/03

荒野の狼

11
山びこ学校の無着先生と教え子を戦中から1992年ころまでのそれぞれの人生と時代背景を描く。山びこを座右にしながら読みたい一冊で、生徒の家庭環境などが詳細に書かれており、山びこの詩や作文の理解が深まる。巻末の参考文献は23ページにも及び本書の信頼性を高める。無着の教育は非難されることがあるが、時代背景を考慮して無着が苦労して作り上げたものであったことがわかる。2010/04/23

gtn

11
生徒たちが四十年を経て無着師に抱く思いは「愛」だけではない。「憎」もある。師が押し付ける理想と現実のすり合わせができない苦しみ、俗化していくように見える師への落胆等、理由は様々あろう。しかし、依然として師が胸の内に居座ってこその「憎」である。愛憎相半ばする存在であってこそ「師」といえないか。2017/12/23

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