内容説明
借金をかかえた青年・文哉の前に現れた無頼な風体の男。「百万円払うから一緒に散歩しろ」という奇妙な提案を受け、文哉は男と共に歩き出す。井の頭公園から出発し、東京を東へと横断してゆく二人。現実の歩みはいつしか記憶の中の風景と重なり、文哉は今までの人生で失ったものを取り戻そうとするが、短い旅の終わりには衝撃の結末が。夢と孤独が交錯する哀愁ロード・ミステリー。
著者等紹介
藤田宜永[フジタヨシナガ]
1950(昭和25)年、福井市生れ。早大中退後、渡仏。エール・フランス勤務、帰国後のフランス語教師などを経て、エッセイを書きはじめる。’86年『野望のラビリンス』で小説デビュー。’95(平成7)年、『鋼鉄の騎士』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会特別賞受賞。’97年の『樹下の想い』で恋愛小説にも新境地を開き、2001年『愛の領分』で直木賞を受賞した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はらぺこ
47
サクサク読める。オモロイねんけど何か腑に落ちんまま読み終えた。ラストだけ現実的というか何というか。文哉が段々と変っていってただけに違うオチを期待してしまった。あと10ページぐらい有ったら良かったのに。有れば有ったで蛇足になるんかも知れんけど。2011/06/30
カブ
42
借金取りから逃げ回る学生文哉と、「一緒に散歩したら100万円払う」といういわくありげな男福原との、不思議な2人旅。井の頭公園から霞ヶ関までの東京を巡る。どちらも切羽詰まっているはずなのにのんびりと旅は続くが、途中で様々人たちとの絡みが面白くこの旅がいつまでも続いて欲しい気がした。2020/06/22
じいじ
17
連日の暑さのため1週間かかって読了。読メの”藤田宜永ならマズコレ!”のトップにランクされているのに、2年間積読状態だった。純真無垢な青年(大学生)と妻を殺したというが何故か憎めない男が井之頭公園をスタートに、東京の思い出の街を徒歩で巡る話。道々この二人の会話が面白い。ミステリアスな展開で途中厭きることはなく読める。好きな藤田宜永の作品だったが、読了感がいま一つしっくりしないのだが・・・。 おすすめ度:★★☆2014/08/07
seba
15
二十一歳の文哉は幼少期に親に棄てられ、養父母との別れも普通ではないものだった。ずっと空虚だった自分の境遇に対し、もはや悲しいとすら思っていない。現在は八十万円もの借金を抱える窮状の中、会えなくなったストリッパーの彼女への想いだけが生きる頼りである。そんな彼のもとへ福原という怪しげな中年男が現れ、百万円払うから一緒に東京の街を散歩しろと言う。彼は、自分の妻を死に至らしめた罪で自首しようとしていた。道すがら二人の関係者を訪ねる中、文哉は知らなかったことを知り、そして再び失う。それでも色を変えて人生は続く。2023/12/18
bfish
13
この結末が好きな人もいるだろうが、僕は最後まで物語を綺麗にまとめず、生き別れになっていた母親と恋人もいない、福原と文哉の世界に浸っていたかったな。でも男同士では物語として成立しないんだろうな。この先の文哉の生きかたを追っていきたい余韻にかられます。2015/10/08
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