内容説明
もっと幸せになりたい。もっと認められたい。もっともっと、愛されたい。男を、結婚を、名声を、執拗に求め続けた女、真杉静枝。最初の結婚からは自ら逃げ出した。愛人・武者小路実篤はついに応えてくれなかった。若い恋人・中村地平は逃げ、夫となった中山義秀も最後には背を向けた。死の間際まで艶聞にまみれたスキャンダラスな女流作家。こんなにも狂おしく哀しい女がいた―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
50
積読本消化。小谷野敦の本で紹介されていて手に入れた。眞杉静枝の評伝小説。武者小路実篤などの愛人で知られている作家なのだという。静枝の死後、彼女に振り回された女弟子が彼女の生涯を小説として語るスタイルになっている。大正昭和の文壇の作家たちがでてきていろいろ面白い。友人だった宇野千代や林美代子などに負けじとのし上がろうとしていたが…… 才能が無いとねえ…… 彼女にまったく共感はできないが似たような性格を身近に知っていて身につまされる。『白蓮れんれん』よりこっちのほうがノッて読めた。ダメ女の一生。おすすめ。2016/08/30
kaoriction@感想は気まぐれに
12
眞杉静枝という一人の女の業を描いた作品。愛人であった武者小路実篤はその愛に応えてくれず、若い恋人、中村地平には長年の同棲生活の末に逃げられ、唯一欲していた「結婚」をしてくれた中山義秀は暴力と共に背を向けた。可愛いそうな、かなしい女だ。彼女は文士、人間であるよりも常に「女」で生きたのだ。対比して描かれる宇野千代の方が、女としても文士としてもかなり上。好感も持てる。途中、静枝の悲しさに腹も立った。「しっかりしてくれよ」と呆れてしまったり。林真理子のどろどろ感や文章を好きになれない私には正直、疲れた一冊だった。2012/08/15
まきこん
11
★★★★☆小説家真杉静枝の生涯を描いた作品。美しくてだらしなくて自分に素直すぎる静枝。彼女にとっての恋愛は、自分を守るためのもの。彼女にとっての物書きは、自分を認めてもらうためのもの。偽りの人生のような、とびきり素直な人生のような‥どちらにしても淋しい人だな。林真理子の描く真杉静枝、ドロドロだけど嫌いじゃありません。2014/05/17
mymtskd
10
眞杉静枝、こういう人がいたとはこの小説で初めて知りました。林真理子さんはこの人を通じて、林さん自身を含む作家(とくに女性作家)の業というか性というか、そうしたものを描いたのだと思う。思った以上に深い作品。2016/09/13
もぐを
4
面白かった。華やかなものにあこがれが強く人に依存してあたりまえで自分は大したことしてないのに大した人と見られたい。いると思います。男でも女でも。元になった眞杉静枝さんの本は今のところ読みたいとは思ってませんがいずれ機会があれば読みたいと思います。2018/07/18