感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
314
なんという、読み手の言葉さえ奪う命の絶唱。常に死が隣にあり死を望む著者の周りは、それを許さずただ只管に愛し愛した!愛する者の死を重ね、生への、命への祈りを重ねた著者の絶唱!キリスト教に帰依し著作を重ねた三浦さんの原点を綴った壮絶な日記。婚約と同時に不治の病を宣告され死への渇望を抱くが叶わず、慈しき者達の命の捧げで繋ぐ命!やがて聖書に傾倒し多数の著書に通づる奇跡!命を賭した周囲の願いを生涯の著作に反映する原動力となる本書。我らの必読書であり、命の尊き意味に涙する珠玉の日記である。純な愛と献身に涙せよ‼️🙇2019/09/26
takaichiro
113
綾子さんの自伝小説。17歳で小学校教諭となるが戦後教育に疑問を感じ退職。間も無く肺結核と脊髄カリエスを併発。病床でキリスト教に目覚め受洗。恋多き青春時代を過ごす中、自分だけを愛する前川正に惹かれ妻になろうとするが、正は死んでしまう。その後現れた三浦光世は前川と瓜二つ。彼もまた闘病を心から支え、奇蹟的に完治。38歳で光世と結婚。戦前戦後の混乱の中、懸命に人生に向き合い、家族の幸せを掴むまでの軌跡を淡々と描く。よくある筋書きだが実体験で心にズシンとくる重厚感。真面目に人生に取り組むことの素晴らしさ。良書です。2020/01/13
mukimi
112
10代で敗戦を経験し結核に罹患、自殺未遂する程荒み切った作者がキリスト教に出会い、愛する人を亡くして尚信仰を厚くし、幸せに気付いていく壮絶な自伝。生きる目的が分からなければ生きられないと苦しむ若き筆者の姿に共感しながらも恋人の真実の愛により心を開いていく様は涙なくして読めないが、彼女自身の魅力と人々との縁は選ばれし者のそれであり、「学びたい少女と教えたい少年の姿が最も美しい」とリルケが述べた様な恋人と高め合うそんな青春私も欲しかった…。生きることは義務(ただしいつとめ)であるという聖書の言葉にはっとした。2023/02/17
優希
96
青春、愛、信仰告白をした心の歴史が刻まれていました。肺結核の発病から始まる闘病生活の中での出来事に胸を打たれました。前川との交際と別れは感動的です。お互いを大切にしながら愛を育むだけでなく、著者がクリスチャンへと導かれたという関係は言葉にすることができない思いに駆られます。辛く苦しい日々と深まる信仰。それは絶望から希望へと導かれる道だったに違いないでしょう。神様は全てを道として備えておられたと思わずにいられません。途中何度も言葉が刺さり、涙がこぼれそうになりました。 2016/06/03
優希
92
愛と信仰、苦しみが語られています。肺結核との闘病が始まってからの告白が胸を打ちました。闘病生活の中で歩む道は苛酷なものだったのですね。三浦さんがクリスチャンに導かれていく様子は、言葉にすることができないほどの想いが心を貫きます。辛く苦しい日々だからこそ、信仰に導かれていったのでしょう。辛い日々と深まる信仰が、絶望から希望へと歩む道が用意されていたのですね。何度も涙がこぼれそうになりました。結婚で光世さんと聖書の贈りあいをしたのが印象的です。2019/03/24