内容説明
大阪・船場の老舗矢島家は代々跡継ぎ娘に養子婿をとる女系の家筋。その四代目嘉蔵が亡くなって、出もどりの長女藤代、養子婿をむかえた次女千寿、料理教室にかよう三女雛子をはじめ親戚一同の前で、番頭の宇市が遺言書を読み上げる。そこには莫大な遺産の配分方法ばかりでなく、嘉蔵の隠し女の事まで認められていた。…遺産相続争いを通し人間のエゴと欲望を赤裸々に抉る長編小説。
著者等紹介
山崎豊子[ヤマサキトヨコ]
1924(大正13)年、大阪市生れ。京都女子大国文科卒。毎日新聞社学芸部に勤務。当時、学芸部副部長であった井上靖のもとで記者としての訓練を受ける。勤務のかたわら小説を書きはじめ、’57(昭和32)年『暖簾』を刊行。翌年、『花のれん』により直木賞を受賞。新聞社を退社して作家生活に入る。’63年より連載をはじめた『白い巨塔』は鋭い社会性で話題を呼んだ。『不毛地帯』『二つの祖国』『大地の子』の戦争3部作の後、大作『沈まぬ太陽』を発表。’91(平成3)年、菊池寛賞受賞
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感想・レビュー
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mariya926
102
怖いです。女系家族で続いてきた矢島家の四代目の嘉蔵が亡くなり、その財産を娘の3人で相続することになりますが、一人一億円ほどの相続財産を貰っても、他の姉妹と比べて悔しがったり裏を読んだり。そこに7年もの間、妾状態であった文乃の存在も明らかになり…。人間って満足出来ない存在なんですね。何一つ足りないものがなく産み育てられてもそれでも満足出来ない…。そして番頭の宇市が裏で横領をしている怖さも加わります。これ以上お金を蓄えても使う暇も使う家族もいないのに…。今後下巻で何が待ち受けているか気になります。2018/01/12
抹茶モナカ
71
養子婿の父親が死に、遺産相続をめぐる3姉妹の骨肉の争い。大番頭が暗躍し、泥沼状態。死んだ養子婿には、妾がいて、妊娠していた。山崎豊子さんと言えば、『白い巨塔』。舞台は違うけど、雰囲気は似てる。2015/02/02
choco
55
図書館本も手元になくなり、引っ越しの時持ってきた少しの積読本から再読中。久々の山崎先生です。映画は観ていませんが映像が浮かんできそうなドロドロしたオンナの戦い。楽しみながら読んでます。2016/09/03
ともくん
53
女の憎しみと執念は凄まじい…… 莫大な遺産を巡る魑魅魍魎たちの醜い駆け引き。 これこそ、山崎豊子の真骨頂。 一体、誰が得をし誰が損をするのか目が離せない。2018/10/07
紫陽花
42
ひどい女たちですね。長女・藤代、次女・千寿、三女・雛子。自分が稼いだお金ではないのに、何か勘違いしていますよね。文乃が可哀想です。こういう人たちからは身ぐるみを剥いでしまえばいいのにと思ってしまいます。反撃を期待します。下巻へ進みます。2021/12/03