内容説明
時の昭和3年、所は奉天。一瞬の爆風とともに、張作霖暗殺さる。唯一の目撃者である少女、麗華を追って、関東軍が立ち上がる。奉天軍、そして国民党軍も動きはじめた…。上海まで1600キロ、期限は3日。日中全軍を敵にまわして、デューセンバーグが中国の大地をひた走る。脱出なるか?日本冒険小説の金字塔、ついに文庫化。日本冒険小説協会新人賞、吉川英治文学新人賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
64
メルヘン上等!冒険小説フェア①。いや、エルカンターレの人が亡くなったから思い出したわけじゃないんですけど。亡くなった母が景山民生のファンで、この人のシニカルな洒脱さに中学生くらいの頃は憧れていたこともあって、この本はひとつのバイブルでした。いま読んでも民間人を殺せずに降格した西真一郎のキャラクターや、落語めいたオライリーとのやりとりはビンビンきます。昭和の小説だけにヒロイン像は薄めですけど、少なくともお人形でなく自分も戦う人物像であるのは流石と思います。しかし戦闘シーン、三國無双並のファンタジーぶりです。2023/03/19
goro@the_booby
43
再読了。張作霖爆殺事件の目撃証人となってしまった中国人少女李麗華を上海まで護送せよとの吉田茂からの命を受けた西真一郎と同行することになったアメリカ人オライリー。デューセンバーグに乗込み上海を目指すが、追ってくるのは関東軍、奉天軍、国民党軍!無事上海に着くことは出来るのか?との冒険小説であります。長編処女作となったこの作品ですが、ツボを抑えて読ませるねぇ~。まぁもう少しデューセンバーグの活躍がみたかったね。2016/08/03
スー
23
87張作霖爆殺事件を目撃した女性を連れて西真一郎少尉とアメリカ人のマイケルオライリーと共に上海までの1600キロを関東軍と奉天軍と国民党軍から逃げ切れ!実在の事件や陰謀や人物を上手く織り交ぜワイルドスピードばりのカーアクションで線路や万里の長城を爆走するのは爽快で最高の冒険活劇小説でした。ただ難点だったのは面白くなるまでが長い事です、前半をもっとテンポ良くしてたらもっと良くなってたと思います。2021/07/09
HoneyBear
13
再読。破天荒だけれども面白い。張作霖爆殺事件をめぐって、吉田茂、村岡長太郎、河本大作、東宮鉄男などなど実在の人物を多く登場させ史実を絡めながらもすごい冒険活劇が展開。ちょっと無茶苦茶すぎるけど、もっと続いて欲しいと思わせる爽快感。2016/02/20
HoneyBear
12
一級の歴史冒険小説(活劇)。もっと話が続いて欲しいと思わせる。