出版社内容情報
江戸幕府の屋台骨がきしみ始めた1841年、老中・水野忠邦の側近として「天保の改革」の指揮をとり、その苛斂誅求ぶりに民の反感を一身に背負った“妖怪”こと鳥居甲斐守耀蔵の実像に迫る書きおろし時代小説。
“歴史は今を映す鏡である”の言葉どおり1841年ゆるみきった江戸幕府の屋台骨を再構築すべく老中・水野忠邦は「天保の改革」を強行。その最前線で指揮をとった目付鳥居甲斐守忠耀(耀蔵)はその徹底した施策に民の反感を一身に背負った。“株仲間解散令”しかり庶民の“奢侈禁止令”しかり。あげくは洋学を排し、“蛮社の獄”をひきおこす。かくまでして反感を買い“妖怪”と怖れられた男の実像に迫る。 “国を改めるとは”民に媚びれば改革の実は上らず、その施策を強行すれば人心は離れる。現代の国政改革にも通じる国家大計の困難を幕末の改革者・鳥居耀蔵の生き方から説きおこす書きおろし時代小説最新作。
内容説明
幕末、政治改革に命を賭けた男、鳥居耀蔵の実像。
著者等紹介
童門冬二[ドウモンフユジ]
1927年(昭和2年)東京生まれ。東京都庁に勤め、広報室長、企画調整局長などを歴任後、執筆活動に入る
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感想・レビュー
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シュラフ
4
鳥居耀蔵は水野忠邦の天保の改革の下で南町奉行として蛮社の獄など洋学者弾圧など権謀術数にたけて辣腕をふるった。鳥居の人物評として「刑場の犬は死体の肉を食らうとその味が忘れられなくなり、人を見れば噛みつくのでしまいに撲殺される。鳥居のような人物とは刑場の犬のようなものである」とまで言われるほどの嫌な男である。目的のためには手段も選ばず、ということなのだろう。童門冬二による鳥居の立場に斟酌した書き方には不満である。とんでもない人間であり、あくまで"妖怪"として書ききるべきであった。2012/12/04
こじりん
0
天保の改革の推進者である南町奉行だった鳥居耀蔵の生き様が良く分かった。2018/05/27
Tatsuhito Matsuzaki
0
水野忠邦の天保の改革を中心となって支え蛮社の獄を断行し、厳しい政治姿勢から時の名奉行遠山景元・矢部定兼らと争い、果ては老中水野を裏切り二十三年間の禁固処分に服した男。 鳥居燿蔵の功罪はさておき、著者の言の如くリーダーや政策が変わっても自分の生き方を貫く頑固者がいつの世も一人ぐらいいても良いのでは?と感じました。2018/04/30
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