出版社内容情報
【よりよく生きるために、死と向き合い、人と人のつながりを考える】
ウクライナや中東の戦争の死傷者は増え続け、突然の災害の被害者も尽きない。一方、日本では年間3万人を超える自殺者が年々増えている。「死」は数値化・映像化したものを見るばかりで、「実感としての死」は遠ざかっているのではないか……。そんな今だからこそ、改めて「己や身近な人の死」や「いのちの大切さ」、「人と人とのつながり」について真面目に語り合いたくなる。
「死んだら魂はどこにいくのか?」、「愛する人の死を、どのようにしたら乗り越えられるのか?」、妹のようだった少女の自殺を忘れられない哲学者が、玄侑和尚と生と死に関する対話を重ねることで、いのちの不思議さ、人と人との時空を超えた縁に導かれていく。
寄り道をするように対話は進み、平安時代の「いろはうた」に秘められた日本人の死生観や、突然に自殺をしてしまう人の心境、人生という物語を紡ぐ意味、東洋思想の根本に流れる「気」のはたらきなど、さまざまな話題に展開する。さらに多くの宗派に分かれた日本の仏教の歴史や、ブッダの説話が語る「宿縁」や「縁起」の考え方、輪廻転生ついてなどの仏教の教えが、玄侑先生ならではの現代的でわかりやすい言葉で語られる。
圧巻は、過去・現在・未来のすべての生命や事象がつながりながら変化し続けいていくという「華厳の思想」で、その雄大で深遠な世界観は、これからの時代に「いのちの大切や人と人のつながり」を見つめなおす鍵となるだろう。表題の「むすんでひらいて」は戦後にはやった唱歌だが、その意味するところも奥深い。
生物学者で作家の福岡伸一氏、「生きる意味を求める人に贈るコロナ時代の方丈記」と大絶賛!!
【著者プロフィール】
玄侑宗久(げんゆうそうきゅう) 1956年、福島県三春町生まれ。安積高校卒業後、慶応義塾大学中国文学科卒。さまざまな仕事を経て、京都天龍寺専門道場にて修行。2001年『中陰の花』で第125回芥川賞を受賞。2014年『光の山』にて平成25年度(第64回)芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。小説作品に、『アミターバ 無量光明』、『リーラ 神の庭の遊戯』、『テルちゃん』『桃太郎のユーウツ』などがあり仏教や禅にまつわるエッセイや対談本も多数。2008年より福聚寺第35世住職。妙心寺派現代宗学委員。
(聞き手)大竹 稽 1970年愛知県生まれ。教育者、哲学者。1991年東京大学理科三類中退。2011年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程修了後、「お寺での哲学教室」や「お寺での作文教室」などを開いている。共著『哲学者に学ぶ、問題解決のための視点カタログ』など著書多数。
内容説明
死とは何か、生命とは何なのか、「いのち」の根源に向き合う対話集。戦争の拡大や自殺の増加など、生命を軽んじがちな現代だからこそ、全ての生命が繋がっているという「華厳の教え」が輝きを増す。「いろは歌」や「むすんでひらいて」の秘められた意味や「気」の世界などにも触れ、生きることの意味を考える。
目次
第1章 死が日常化した今、あらためて死について考える
第2章 昔の日本人は「死」をどのように捉えてきたのか
第3章 「いのち」の存在は、不滅なのか
第4章 人間の生死の営みには「物語」が必要である
第5章 魂と魂を繋ぐ「縁起」の世界
第6章 人間の本性は善なのか?悪なのか?
第7章 東洋の「気」と西洋哲学の関係を考える
第8章 生命力を産みだす「渾沌」とは何か
第9章 全ては変化しつづける「唯識」のなかで生命を考える
最終章 むすんでひらいて無限の可能性を信じて生きる
著者等紹介
玄侑宗久[ゲンユウソウキュウ]
1956年、福島県三春町生まれ。安積高校卒業後、慶應義塾大学中国文学科卒業。さまざまな仕事を経て、京都天龍寺専門道場に入門。2001年『文學界』掲載の「中陰の花」で第125回芥川賞を受賞。2014年『光の山』にて平成25年度(第64回)芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。ほかに仏教や禅にまつわるエッセイや対談本や共著も多数ある。2008年より福聚寺第35世住職。東京禅センター理事、花園大学文学部仏教学科客員教授
大竹稽[オオタケケイ]
1970年愛知県生まれ。教育者、哲学者。1991年東京大学理科三類入学、後に退学。2007年学習院大学フランス語圏文化学科入学、後に首席卒業。2011年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程修了(学術修士)、フランス思想を研究。その後、同大学博士後期課程入学。退学後は、主に臨済宗建長寺派・妙心寺派の禅僧らとともに「お寺での哲学教室」や「お寺での作文教室」を開いている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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