内容説明
上杉景虎が赤鯨衆に捕縛された。高耶の身柄は草間の手に預けられ、尋問が始まった。しかし尋問とは名ばかりで、草間は募りに募った怒りと憎しみを景虎にぶつけるのだった。なんとか高耶を救おうとする中川は嶺次郎にかけあうが、逆上した嶺次郎は中川の話を聞こうとしない。高耶という軍団長を失った前線には動揺が走っていた。そんな時、傷だらけの高耶の前に、兵頭隼人が姿を現すが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
18
他者の身体を乗っ取り、生きるだけでも罪というならば他者の魂すらも制圧できる力を持っていることは絶対悪だと断罪できる資格は草間たちにはない。身分という境界を失くす戦いだとしてもそこにあるのは境界を新たに作るという結果しかない現実しかない。赤鯨隊達とは違い、恵まれた立場にあったという理由で憎悪される高耶さんも謙信に認められるように400年も辛い思いもして生き続けてきたのに・・・・。高耶さんの涙の覚悟とそれに対する直江の怒りに色んな感情で涙が止まりません。唯一、立場は変わったとはいえ、千秋は千秋でホッとします。2012/02/01
フキノトウ
15
高耶に対する拷問が恐ろしかった。処罰を覚悟して、進言する中川さんが、かっこよかったです。そして、やっと直江と再会!それがすごく嬉しかった。2014/01/27
ユーリ
11
何度萌え死にそうになったことか。冒頭の拷問を除けば、この巻は好きなシーンが多すぎる。特に足摺岬での2人の再開は、シリーズ全編を通して名場面ベスト3のうちの一つ。怯えまくりながら逃げる高耶と、執拗に追いかける直江。この時の名言の応酬は鳥肌モノ。2010/02/25
あすな
7
波に紛れて、懐かしい気配が近づく。誰よりも求めている、あなたを…おまえを…再びこの腕に。/「地の果ての岬」、「断崖上の愛」、そして「過ちの理由」。取り敢えず読んでください。正直、泣きました。もう、いい。もう、いいよ…と、炎ミラを読みながら何度目か分からない呟きを繰り返しながら、あっと言う間に読了。ああ、『怨讐の門』辛過ぎ。/ 「その時、銃口の先にあるもの」も、ねぇ…。もはや何を書けばよいやら。本当に、随分と遠い所まで来てしまったなと感じるばかりです。お願いだから、死なないで、二人とも。2014/02/02
ふさたろう
7
拷問シーンも含めて、実り多い巻。出自がどうしても許せないというのは、人を肌の色や家柄で差別することと些かの変わりもないこと。「心の目で見てみる」「心に資格がある」いい言葉です。高耶は大抵の場合冷静に物事が判断できる方だと思うのだけれど、こと直江に関して言えば全く的外れ。記憶を奪うなど、傲慢そのもので、さすが400年もの長きにわたって支配してきた者の考え方だな、などと少々あきれてしまう。近しいからこそ見えないもの、言えないことがあるから仕方がないか。兵頭、存在に匂い立つ色気がありますね。今後が楽しみ。2011/07/13