内容説明
日本人でもない。韓国・朝鮮人でもない。「異質」な存在として日本社会を生きる60万在日コリアン。二つの祖国に揺れた力道山。「日本人」を志向した新井将敬。日本というシステムと闘う孫正義―彼らの半世紀を通し、「祖国」や「民族」の意味を問い、日本社会の「内なる国際化」をとらえなおす。
目次
第1部 “在日”を考える(同化と異化の狭間で―在日の現在(いま)
差異と平等のジレンマ―在日コリアンの戦後50年
帰属への抵抗―在日として生きる意味)
第2部 “在日”を生きる(二つの祖国―力道山の伝説;祖国の壁―本国投資に命を懸けた三人の男たち;日本人になりたい―新井将敬の生きざま;日本というシステムと闘う―孫正義の挑戦;在日コリアンはどこに向かうのか―民族教育の未来)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Katsuaki Mori
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2016/09/12-2016/09/142016/09/14
amanon
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本書で特に印象に残ったのは、プロレスラー力道山と自民党議員だった新井将敏の生涯について割かれた章。全くのでっちあげのストーリーで塗り固められた自分の伝記映画に自ら出演した力道山、徹底して日本人になりきろうとしながらも、差別と抑圧の壁に苛まれあげくは自死に追い込まれていった新井将敏、いわば在日の負の部分を全身に負ったこの二人の生き方は在日という存在を考える上でこれからも大きな試金石であり続けるのではないか。2009/07/06