内容説明
邪馬台国はどこか。全国各地が名のりをあげ、論争ははてしなく続く…。一九九四年、京都府丹後から「青龍三年鏡」が発見された。「卑弥呼の鏡」か。がぜん畿内説が優位にたった。しかし、北九州論者も猛反撃する。侃々諤々の大論争をわかりやすく整理し、さらに、前方後円墳に注目した独自の論を展開。
目次
序章 青龍三年鏡の出現
第1章 『魏志倭人伝』の世界
第2章 卑弥呼の迷宮―「水行十日陸行一月」
第3章 卑弥呼の鏡―銅鏡百枚
第4章 卑弥呼の墓―大冢を作る
終章 卑弥呼の最期
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hyena_no_papa
3
佐伯有清氏の『研究史邪馬台国』や『研究史戦後の邪馬台国』が初心者にも読みやすく入門書として適切なのに対して、この岡本健一氏の著は一定の基礎知識がなければ、読者にとっては、なかなかに理解が進まないかもしれない。ただ、内容的には文句のつけようが無い。特に、三角縁神獣鏡を巡る各論点の紹介は引きずり込まれるものがある。景初四年銘鏡についてまとめて論じてある点はありがたい。氏は大和説で単に「倭人伝」の解釈からそれを導くのではなく、鏡や箸墓についての考察から辿り着いている点は、安定的で堅実な姿勢ではないかと思った。1995/09/10