内容説明
十九世紀イギリス。誰も知らない珍しい花や樹々を求め、国中が沸きたっていた。この要求に応えて世界をかけめぐるプラントハンターたち。ラン、チャ、ユリ…。エキゾチックなあこがれを満たすべく、彼らはジャワ、中国、そしてニッポンをめざす。豊富な文献渉猟から植物をめぐる文化交流をあざやかに位置づけた力作。
目次
序章 プラントハンターの心
第1章 植物をめぐる知・探検・趣味―イギリスにおけるプラントハンター
第2章 植物観賞の時代―植物知識の大衆化
第3章 探検と植物採集
第4章 植物王国日本の開国―西洋を刺激した独特の植生
第5章 日本にやって来た外交官と植物
第6章 ユリとキク―ヨーロッパ園芸市場をかざる花
第7章 プラントハンターの世紀―無名の人が運んだ有名な植物
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとちゃん
1
1994年の出版。冒頭でプラントハンターという言葉が読者にはまだなじみが薄いと思われることむ、オックスフォード英語辞典にも載せられていないこと、との説明がなされる。そこから近世のイギリスを中心として、特に日本と関わりが深かったプラントハンターの紹介がなされていた。章ごとに切り口を変えていたため、時系列的には行きつ戻りつしたため、俯瞰的に歴史が頭に入っていなければ読みづらい。けれども、それを補う驚きと発見に満ちていました。2021/10/22
Wataru Hoshii
1
自国にはない植物を求めて新大陸やアジアを渡り歩いた人々、それがプラントハンターだ。本書の中ではやはり日本に来たプラントハンターたちの話が面白い。何しろ、日本からの植物がなければイングリッシュガーデンだって成立しなかったのだ。歴史的な流れを押さえてできるだけ包括的に書きたいという著者の意図はわかるが、やはり前半にプラントハンターの歴史が延々と語られるのはつらい。わかりにくい人名が頻出するし、時系列もあっちいったりこっちいったり。話の素材は良いのだから、読み物としてもうちょっと面白く書けたかなという気はする。2010/12/17