内容説明
尾翼を失ったJAL123便に何が起きたのか。完全に制御不能だったのか。航空事故研究の第一人者が、飛行力学をやさしく解説しながら御巣鷹山墜落事故の謎を解く。独自の解析やボーイングへの独占取材など、他の追随を許さない分析力で真相に鋭く迫る。JAL123便と同様、油圧操縦系統を喪失しながら奇跡の生還を果たしたスー・シティ事故との比較検証を大幅に加筆して文庫化。疲労亀裂発見の問題や、乗員・関係者の免責についても問う。
目次
第1章 日航一二三便、御巣鷹山に墜落
第2章 尾翼はなぜあるか
第3章 尾翼がとれるとどうなるか
第4章 サンプリングは手抜きか
第5章 急減圧はなかったか
第6章 垂直尾翼はなぜ壊れたか
第7章 飛行機屋はどう思っているか
第8章 雫石でなにが起きたか
第9章 私になにが起きたか
文庫版補章 一八年後にみた日航機事故
著者等紹介
加藤寛一郎[カトウカンイチロウ]
1935年、東京に生まれる。1960年、東京大学工学部航空学科を卒業し、川崎重工業に入社。その後、アメリカ・ボーイング社を経て、1971年に東京大学工学部航空学科助教授、1979年に同学科教授となり、1996年、同大学名誉教授。1996年から5年間、日本学術振興会理事。工学博士
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感想・レビュー
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鐵太郎
8
1985年8月12日、日本航空123便ボーイング747型機(ジャンボジェット)は、突然垂直尾翼の大部分を失い、約30分間の迷走ののち、群馬県御巣鷹山に激突しました。搭乗者520名死亡、重傷の生還者4名でした。この本は、航空専門の学者として関わった著者が、事件の2年後に現した著作を、18年の時をおいて加筆・文庫化したものです。ペアとなった記者が最後に切れた姿とその正体が最後のオチ。(笑)2005/01/25
papaya
2
基本的に調査委員会報告書を肯定している。急減圧はなかった、という説は「妄説」と一笑に付している。この点、私の見解とは異なる。が、調査委員会報告を全面的に肯定しているものでもない。 私は、垂直尾翼を破壊する原因となるような急減圧はなかった、と考えている。 この本も、落合さんの証言を取り上げて、急減圧がなかったという説を取り上げている。 また、急減圧の根拠となるCVR記録の読み取りについて、「客室急減圧警報が出た」という読み取りについて、そう解釈しているパイロットは一人もいない、と説明している。 2022/06/02
坊。
2
ダッチロール飛行の科学的分析が圧巻。2008/08/18
スターリーナイト
0
2017-44 謎が多いが、圧力隔壁が壊れたのが真実となると、ミサイルとか標的とかの説明が難しくなるな。 2017/06/22
ジャガラモガラ
0
数式での説明もあり抽象的な陰謀論より信憑性がある2020/12/09