- ホーム
- > 和書
- > 文庫
- > 歴史
- > 講談社 吉川英治文庫
内容説明
厳父の家業失敗により、著者は11歳で実社会に抛り出された。以来、印章店の小僧をはじめとし、印刷工、給仕、小間物の行商、港の船具工など、幾多の職業を経験し、浮世の辛酸をなめ尽す。幼いながら一家の大黒柱としての自覚、また逆境に芽生える思慕の情、隆盛期の横浜が少年の著者に投げかけた強い色彩―その波瀾に富んだ少年期を回想した半自伝であり、吉川文学の原点でもある。
目次
忘れ残りの記
自筆年譜
ゴルフ場の日だまりで(吉川文子)
忘れ残りの記の旅(吉川英明)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニコン
6
波乱万丈の人生の前半、このようなことがあって、素晴らしい作品が生まれるのですね。明治時代から大正時代の横浜、東京下町の風俗を知るうえでも貴重な記録でもあります。2013/08/26
MAKOTO
4
途中結構キワどい描写があってエッってなった。よく出版できたな。 やっぱり自分は合戦がないと集中が途切れてしまうみたい。2021/10/02
taro
3
明治後期の横浜付近の極貧暮らしの話。吉川英治ほど波乱万丈ではないが、読みながら自分の子どものころの記憶がいくつも呼び出された。▲著者の父は今で言うアルコール依存のDVであるが、正に子は鎹。明治の女は強かった。▲著者は父の前で泣き、母と一緒に泣きする泣き虫で本が大好きな空想好きの子どもだった。▲著者は母親想いで、マザコンかも。血の繋がらない孫にも愛情溢れる偉大な母親だった。▲正に赤貧洗うがごとしという貧しさ。ろくに学校も行けず、良くあれだけの名作を遺せたものです。好きこそものの上手なれということでしょうか。2016/06/08
風斗碧
1
けっこう、読み終えるのがきつかった・・・。本人の発言にもあるとおり、酷い貧困にそこまで深刻にならない、あっけらかんとした風がどこかにあるから読めてしまうものの、次から次へと続かない仕事、先のない家族の生活、上手く行き始めるたびにぶち壊す父親、殴られ虐待される母親。読んでいるこちらは、これがいつかあの名作を書く作家になる・・・と知ってはいるものの、救いがまるで見えないのがつらい。最後の「ゴルフ場の陽だまりで」がか弱い希望になっているのが救われた感じだった。息子さんの文体は、お父さんそっくりで驚く。2019/09/24
Gen Kato
1
再読。父親との愛憎、母親への哀憐、読んでいてともにつらい。2014/12/12