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内容説明
寿永二年は、源平それぞれに明日の運命を賭けた年である。ひとくちに源氏といっても、頼朝は義仲を敵視しているから、三つ巴の抗争というべきであろう。最初の勝機は義仲がつかんだ。史上名高い火牛の計で四万の平家を走らせた倶利伽羅峠。勝ちに乗じた義仲は、一気に都へ駈けあがる。京洛の巷は阿鼻叫喚。平家は都落ちという最悪の事態を迎えるが、一門の心と心は決して同じではない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kiyoshi Utsugi
45
先日、青梅にある吉川英治記念館に行ったのを機に、しばらく中断していた「新・平家物語」を読むようにしました。 第9巻は、なんと言っても木曽義仲を全面に押し出した巻。 倶利伽羅峠の戦いに始まって、平家が都落ちし、木曽義仲が都に入って朝日将軍となるまでを描いています。 木曽義仲と言えば、お相手は巴御前しか知らなかったのですが、葵御前、山吹御前と3人もお相手がいたのですね。しかも3人とも女武者。 吉川英治の創造した人物ではなく、平家物語にも書かれているらしい。 この巻を読んで北陸にある燧ヶ城に行きたくなりました。2022/05/29
ちゃいろ子
44
平家の都落ち。 まさに「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」である。清盛の後を継いだ宗盛。常に父や、亡くなった兄と比較され駄目な人と思われ勝ちだし、まんまと法皇に出し抜かれてしまうのだが、人としてはとても情のある人。 清盛の異母弟である忠度が師に歌を託して去る場 面も悲しい。 この忠度にしても崇徳院にしても美しい歌を遺していて学生の頃にもっと興味をもって学びたかったなぁと今更ながら。 安徳天皇が都に帰りたいと道々ぐずったり、それを優しくたしなめる徳子も切ない。 一方太陽のように輝いていた義仲にも暗雲が。2021/10/31
金吾
38
平家の運命の急転振りは物の哀れを感じます。木曽義仲も含め無情感が溢れている巻でした。2023/04/11
シュラフ
34
日本の歴史のことって知っているようで知らないものだ。平家は木曽義仲によって京を追われるのだが、その前段階として北陸方面で平家軍と木曾義仲軍との激突があったとは知らなかった。倶利伽羅峠は、平家軍は火牛の刑によって大敗を喫したという古戦場だったのか。平家軍が敗れ去った後に、義仲が優雅な仮名がきの和歌集を拾う場面は、平家軍の貴族的体質を象徴しているようでなにやら物哀しい。そもそも木曾義仲軍の偽装の源氏白旗に惑わされずに俱利伽羅峠を突破していれば勝機は平家軍にあった。なんの策略もなく戦いにのぞむ平家にあきれる。2017/04/30
Toska
28
清盛の死からわずか一巻で平家が都落ちに追い込まれるとは…この慌ただしさは、当時の人々の感覚をそのままなぞっているのかもしれない。そんな中、竹生島で経正が麻鳥に琵琶を聴かせるエピソードや、住み慣れた都との別れを惜しむ平家一門の悲哀が心に沁みる。緩急自在、まことに著者の熟練を感じさせる筆さばき。惣領の器でないことを自覚しつつ、運命に巻き込まれていく善良な宗盛の人物像もよい。ただやっぱり、後白河きちんと見張っとけ!と言いたくはなってしまうのだが。2025/01/05
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