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内容説明
冷厳な隠密の掟ゆえに、お千絵と弥之丞の恋は許されようもない。といって、お千絵に執拗につきまとう旅川周馬の邪恋は迷惑至極。弦之丞も家を捨て恋を捨て、一管の竹に漂泊の旅を重ねるが、お千絵への思いはきっぱり絶っているだろうか。その弦之丞に隠密の命令が下る。阿波二十五万石の存立にかかわる大仕事が!無論、阿波藩士が手を拱いて待っている訳がない。弦之丞を取巻く蜘蛛手の網。講談社創業80周年記念出版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
51
登場人物も増え、状況も入り乱れてきましたが、それが面白さに繋がっています。隠密の掟のため、弦之丞とお千絵の恋は許されざるもので、しかも弦之丞が家も恋も捨てるというのが切なかったです。更に弦之丞に阿波に二十五万石の存続に関わる命令が下るので、阿波藩が手を拱いているわけはありません。行動は全て知られ、命を狙われているのに弦之丞は怪我することがないのはスパイものの約束なのでしょうか。しつこくつきまとう悪役3人も生きていますし。テンプレートのような展開ながらも物語を追いたくてたまらないくらいグイグイ読ませます。2015/07/12
Kiyoshi Utsugi
4
阿波国に探索に向かうにあたり、法月弦之丞はまず江戸に向かって将軍家から公儀の隠密としての正式な認可を受けます。 そして中山道を使って京経由で阿波国に向かいます。 途中、お十夜孫兵衛等にしつこく付け狙われますが、何とか振り切ります。 美濃国垂井(実際には垂井宿と赤坂宿の中間にある青野)にある国分寺で、遍路切手を貰うと道者船に乗ることが出来て、お遍路さんとして阿波国に上陸することが出来るとのことで、まずは美濃国に向かいます。2019/08/24
八丁堀
3
筋立ての面白さは言わずもがなであるが、情景が浮かび上がる綴り方が、何たってぴかいち。例えば、「近江訛りの蚊帳売りや、懶(ものう)い稽古三味の音が絶えて、ここかしこ、玉の諸肌を押し脱ぐ女が、牡丹刷毛から涼風を薫らせると、柳隠れにいろは茶屋四十八軒、立慶河岸の水に影を映していっせいに臙脂(えんじ)色の灯が入る。」と。堪えられないね。2013/01/12
都人
2
中山道(木曽路)を経て、浪速へ。未だ阿波には入らず。2022/04/17
kinta
2
読んでいるうちの思い出したが、昔のいい男は自分から動かない受身だったりするんだな。かといって身の内に熱さがないわけでもなく。だから、女を利用しようとすると、下手っぴ~な羽目になる。そういう男にいい女が惚れるときた。久しぶりに二枚目の男の葛藤を堪能中。次回は阿波!世阿弥さんどうなるの?!2018/12/27