内容説明
心やさしく、なつかしい、暖かな世界・木山捷平詩。常に、弱きものたち、めぐまれることすくないものたちへ、心からの手をさしのべ、暖かな声援を送る、市井の人、木山捷平の第一詩集『野』、第二詩集『メクラとチンバ』、第三詩集『木山捷平詩集』と、生前未刊行の詩、短歌、俳句を、木山みさを夫人が心をこめて編んだ。“人生の歌”全詩集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
57
私は詩や俳句の良い読者ではない。読んでも頭にすんなり馴染まない。用心しないと行数のぶんだけ目でページを舐めたような調子になってしまい、気付いてもう一度読み直す事もしばしばである。しかしこの『木山捷平全詩集』は、読みだして数ページ目で「谷川のほとりで/身内にいっぱい山気を感じながら/ウンコをたれてみたいのう」という野糞礼賛詩に目を覚まされる。農民哀歌のような詩の中に、ペーソスのみならずそこはかとないユーモアが湛えていて、読む私の心が柔らかい言葉に飛び込むようである。この本を持ってどこか旅行に行きたい。2019/08/09
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
40
村上春樹のエッセイで「秋」が紹介されていたのを読んで興味を持った詩集。土の人、畑を耕し、貧しさの中で暮らしながらどこかユーモアを感じさせる作品。町にいても、根っこは故郷の村にある。短歌や俳句も収録されていて、特に俳句に好きなものが多かった。2016/05/31
こうすけ
15
『大陸の細道』の木山捷平の詩集。農村の日常をうたったものがほとんど。といっても、美化された田舎の姿ではなく、夜這いや糞尿についての詩が多い。そして、それらがとびきり良い。読みごたえのある詩集でした。2023/07/16
チェリーニ
8
驚きの詩、しかし詩そのものより後記や解説を興味深く読みました。2019/05/18
あなた
7
スカトロをあえて詩化することもせず、そのままに「描く」ことに詩意をみいだす。低俗の領域にとどまりながらも、低俗をつらぬきとおしたのが木山の短編にも詩にもいえることである。ハイブラウの「文学者」には実はなかなかできることではない。ロマン主義でも自然主義でもなく、捷平主義といったところ2009/08/15