内容説明
漢字や数字を理解するチンパンジーとして名高いアイ。彼女が息子アユムを産んで六年が経過した。はたして子育ては順調に進んだのか。また、親が獲得した知識や技能は、世代を超えて息子に伝えられるのか。アイ母子を軸に、野生下における観察・研究をも踏まえ、チンパンジーの親子関係、教育、文化の諸相を探る。「その後のアユム」最新情報を加筆。
目次
第1章 アユム誕生からの一年(アイがアユムを産んだ;子育てができない ほか)
第2章 野生チンパンジーの暮らし(チンパンジーは「進化の隣人」;チンパンジーの一生 ほか)
第3章 アイ・プロジェクトからの展開(チンパンジーから見た世界;ほんとうにヒトのことばがわかるのか? ほか)
第4章 世代を超えて伝わるもの(チンパンジーの歴史学;コミュニティーと文化をつくる ほか)
第5章 あかんぼうから子どもへ(ミレニアム・プロジェクトのその後;親子関係と仲間関係 ほか)
著者等紹介
松沢哲郎[マツザワテツロウ]
1950年、愛媛県生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。京都大学霊長類研究所教授・所長。理学博士。紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MURAMASA
30
筆者の文章が2年生の教科書に載っていて、先日授業でやったときに、子どもたちが興味津々だったので、教室に置こうと思って購入、まずは読んでみました。教科書に載っているのは野生チンパンジーのエピソードですが、それ以外の、アイやアユムたち飼育下のチンパンジーたちのエピソードもすごく面白かったです。京都大学の教授先生ですから、一般読者向けの文章とはいえ、きちんきちんと書いていて、読んでるとちょっと肩が凝るかも。現在進行形でこういう文章に触れている、高校生・大学生向けの読み物かもしれませんね。2010/07/16
カネコ
3
◎ ヒトにとって「進化の隣人」であるチンパンジーを知ることが、ヒト自身を知ることにつながる。「はじめに」に記された「ゲノムの中に組み込まれた形で情報を親の世代から子の世代へ伝えるのではなく、ゲノムの外側で伝えるということ」の意味が、本編で具体的に興味深く示される。2012/12/18
さちこ
1
人間との比較が多いから返って人間に関して発見した。2009/07/14
かみのけモツレク
0
チンパンジーへの敬意がすごい2018/08/20