内容説明
「夢」のキングと「悪夢」のマルコム。黒人運動の二大天才指導者の思想を通して問うアメリカの「現在」。
目次
第1章 キング牧師の思想
第2章 マルコムXの思想
第3章 キングとマルコムはどう違うか
第4章 現代に生きるキングとマルコム
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とくけんちょ
44
二人の誰もが知ってる影響力をもった黒人、キング牧師とマルコムX。ほぼ同じ時代を生きて、2人はどんな人物だったのか。わかりやすい対比でまとめられている。世の中に聖人君子はいないし、活動には力がいる。人種差別は見た目の差別で隠すことはできない。ざっくり言うと共に生きるか別に生きるか。カリスマ性って何だろうと改めて思う。2019/03/08
読書ニスタ
41
非暴力で差別と戦った夢あるノーベル平和賞のキング牧師。悪夢の過激派マルコムX。禁欲的で真面目なマルコムは見直され、性的に堕落し盗用の多いキングの評価は下がった。当時は物資が不足し黒人は搾取された。今日、橘玲氏は統計的に黒人は劣っており、優遇措置で他の民族が逆差別を受けていると主張。さて、白人中産階級も搾取され没落、国家財政も破綻。一部の「企業」だけが繁栄する。北風と太陽の如く、殴って搾取するのでなく、便利なサービスで、搾取する時代である。問題は循環しないこと。どう戦うべきかキングとマルコムに問いたい。2019/03/23
kawa
32
黒人差別闘争で活躍の史伝中の人物ながらそのスタンスが対照的なキング牧師とマルコムXの軌跡を比較を交えて綴る書。キリスト教やインドのガンジー元首相由来の非暴力思想に基づくキング氏。イスラム教に基づき白人と相いれない分離主義を過激に主張したマルコム氏。両者の主張は一見、左右両翼の如き距離感にあるのだが、永年の活動と歴史の経緯のなかで、もしかしたら交差したかもしれない、そんな期待を抱かせる内容。差別問題というのは、黒人のそれだけでなく日本人でもありうる。そんな問題を考えるきっかけとして最適な書だと思う。2024/05/07
ちくわん
25
1994年12月の本。キング牧師、1929年1月生まれ(この日はアメリカ合衆国の祝日)1968年4月に暗殺される。マルコムX、1925年5月生まれ、1965年2月に暗殺される。二人とも公民権運動の指導者。そうか、そうだったのか。以前、これらに関した本を読んだ気がするが、頭が痛くて思い出せそうにない。2022/01/19
バズリクソンズ
20
2人の解説部分よりは白人による黒人への人種差別問題がテーマであり、公民権運動への発展をかけ足気味に知る事の出来る一冊。キングとマルコムに関して知りたいならやはりそれぞれの自叙伝を読まなければと思った程2人に関する記述は薄い。入門編と考えれば最適なのかも。公民権運動の強化で黒人は優遇措置を受けるようになったが、それでも被害者であろうとし困難を克服できなくとも罪悪を感じないですむ、この事態が黒人全体に広がるなら人種としても脆弱性を持つ事になるのではないか?との部分は黒人側だけに的を絞ったわけではない著書である2022/04/23